キャリアガイダンスVol.428

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※ダウンロードサイト：リクルート進学総研 ＞＞ 発行メディアのご紹介 ＞＞ キャリアガイダンス（Vol.428）みられる。 「今後、こうした探究活動の経験の先に自分の進路を見いだしたり、それを軸に進学する生徒が増えていくでしょう。地域の大学や企業などと連携して総合の学びを一層充実させ、将来につなげていきたいと考えています」（松原校長）　同校の探究は、大学の研究とは違い、素晴らしい結果を出すことよりも、プロセスにおける生徒の成長を重視している。そのため、「文献調べ」「実験・観察」などのプロセス別・教員チームを組んで支援し、各活動に必要な力を効果的に育成。また、国語の教員が物理系のテーマに取り組む生徒を担当するなど、あえて専門外のテーマを見ることで、多様な視点を取り入れて探究できるよう工夫している。　土曜日の使い方も変わった。かつては土曜日も通常授業を行っていたが、16年度より、希望者を対象とした特別講座「土曜塾」に切り替えた。内容の改善を重ね、今年度は教員が得意分野を活かして生徒の好奇心・探究心をかきたてるテーマにより、１講座５回連続の講座を設定。前期・後期で各８講座を実施する。開講に際し、各講座でどんな活動を行い、それによりどのような力を育むか、担当教員が生徒に向けてプレゼンを行って参加者を募っている。　委員会活動をはじめとする特別活動の在り方についても、今年度、全面的に見直しているところだ。 「『前年こうしたから』ではなく、各委員会の生徒が、よりよい学校を作るためにどんな活動が必要かを話し合うところからスタート。その実現に向けた年間計画を立てて取り組んでいきます」（斎藤先生）　かつて3学年担任の力量に頼っていた進路指導も、自己理解から始めて将来像を見通しながら希望進路に向かう３年間の流れを体系化し、大学受験の先を見据えた進路選択の支援に力を入れている。 「偏差値という他者が決めた基準だけで自分を測るのではなく、自分の価値基準をもって世界と向き合い、自身のフィールドを切り拓いていってほしいです」（森内教頭）　さまざまな場面で資質・能力の育成を意識して取り組むなか、生徒に社会で生きていくための力が育っている手応えがあるという。 「私が特に感じるのは、考える楽しさを知り、対話ができる生徒が育っていること。考え、対話することを通して自分の内面が豊かになる実感があるのでしょう。卒業後も、さまざまな出会いのなかで自分自身の変化も楽しみながら、自ら学び、成長していけるのではないでしょうか」（森内教頭）　今後について、松原校長は、「４つの探究の学びを充実させることで、これまで以上に幅広い分野で卒業生がリーダーシップを発揮して活躍するのではないか」と期待を語る。ここ数年で、教育のゴールを、生徒の将来にわたる活躍へと大きくシフトさせてきた同校。ここからどんな生徒たちが育っていくのか、今後も注目していきたい。校長松原 肇先生特活主任斎藤 奈織子先生自分自身の価値基準で進路を切り拓いていけるように教頭・進路指導部長森内梨絵先生将来につながる自分の成長を実感●中1の頃は先生の話を聞く授業でしたが、今取り組んでいる、友達と話し合う機会が多い授業の方が好きです。自分の頭の中のことを言葉で表現し、また友達の話を聞くことで、より授業内容が理解できるようになったと思います。答えは一つではなく、いろんな意見があることも学びました。みんなの話についていくのが大変なときもありますが、自分の意見をちゃんと言おうと努力しています。（２学年・石田爽乃さん／写真左）●将来の目標はまだ決まっていませんが、学校生活のなかで一つのテーマを探究していく面白さを知って、研究者や医者に興味が出てきました。日々の授業では、自分の考えをうまく人に伝えようとがんばっていて、こうした経験は、将来どんな方向に進んでもきっと役に立つと思っています。（２学年・瀬島慧也さん／写真中央）●中学に入学したころ、私は医師になりたいと思っていました。でも、ダンス部の部長を務めたり、委員会活動に積極的に取り組んだりするなかで、リーダー的な立場でみんなを引っ張っていくことに面白さを感じるようになり、将来やりたいことも変わってきました。今の目標は、自分の理想とするホテルを作ること。そのために、「総合」の課題研究ではリーダーの在り方をテーマに研究中です。また、卒業後は大学で経営学を学びたいと考えています。（２学年・野﨑春那さん／写真右）土曜塾の講座は、外部コンテストに参加する「企業の課題を解決する」、悩みの解決策を個人とグループで探る「実生活に哲学を役立てる」、美術品の国際比較をしながら参加者同士で意見交換する「日本の美意識を考える」など多彩。「総合」では個人テーマに取り組む。ＫＪ法などを使った個人作業や、教員への相談などを行いながら問いを深めていく。472019 JUL. Vol.428