キャリアガイダンスVol.428
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 特別活動とは周知のとおり、「ホームルーム活動」(以下、HR活動)と「生徒会活動」という二つの活動と、「学校行事」で構成されている(図1)。 「どの学校でも、水や空気のような存在として、あまり目標や内容を意識されていないかもしれません。しかし学習指導要領では、各教科同様、『〇〇の見方・考え方を働かせ』という文言からはじまる目標があり、育成を目指す資質・能力として、『知識及び技能』『思考力、判断力、表現力等』『学びに向かう力、人間性等』の三つの柱に沿って明記されています(図2・図3)。そして、目標達成に向け、各活動・行事の内容等を図1のように規定しています。しかし、実際にはHR活動が行事の準備に充てられるなど、これらを意識している高校はどれくらいあるでしょうか」(長田 徹先生・以下同) 特別活動の見方・考え方とは、図2のように、「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」という三つの視点をベースとしたもの。生徒のキャリア形成に他ならない。また、特別活動の特質として、「集団活動」と「実践的な活動」が挙げられる。教科は一人で学ぶ場面もあるが、特別活動は集団活動が原則中心だ。また、教科では学んだことで課題解決の仮説を立てるところまでで終わることもあるが、特別活動では実践をともなう(実践への意欲付けを含む)取組が欠かせない。さらに学習過程として、集団としての「合意形成」を進める活動形態と、個人として自己の在り方生き方を「意思決定」していく活動形態がある。(いずれも18ページ以降を参照のこと) 特別活動のカリキュラムを設計するにあたって最も大事なのは、各学校の生徒の現状を見取り、身に付けさせたい資質・能力を具体化していくことだと長田先生は語る。講師文部科学省/国立教育政策研究所長田 徹氏特別活動の構成内容や育成する資質・能力を把握する特別活動で自校の生徒に育みたい資質・能力を具体化特別活動を構成するもの図1(1) ホームルームや学校における生活づくりへの参画⦆ ア ホームルームや学校における生活上の諸問題の解決⦆ イ ホームルーム内の組織づくりや役割の自覚⦆ ウ 学校における多様な集団の生活の向上⦆(2) 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全⦆ ア 自他の個性の理解と尊重、よりよい人間関係の形成⦆ イ 男女相互の理解と協力⦆ ウ 国際理解と国際交流の推進⦆ エ 青年期の悩みや課題とその解決⦆ オ 生命の尊重と心身ともに健康で安全な生活態度や   規律ある習慣の確立⦆(3) 一人一人のキャリア形成と自己実現⦆ ア 学校生活と社会的・職業的自立の意義の理解⦆ イ 主体的な学習態度の確立と学校図書館等の活用⦆ ウ 社会参画意識の醸成や勤労観・職業観の形成⦆ エ 主体的な進路の選択決定と将来設計⦆※特別活動の「合意形成」「意思決定」についての詳細は18ページ以降を参照合意形成意思決定●ホームルーム活動 (12内容項目)(1) 生徒会の組織づくりと 生徒会活動の計画や運営(2) 学校行事への協力(3) ボランティア活動などの社会参画⦆合意形成●生徒会活動 (3内容)(1) 儀式的行事⦆(2) 文化的行事⦆(3) 健康安全・体育的行事⦆(4) 旅行・集団宿泊的行事⦆(5) 勤労生産・奉仕的行事⦆合意形成意思決定●学校行事 (5種類)特別活動特別活動を要としてカリキュラムをデザインするまずは学校の教育活動全体の中で、特別活動をどのように位置付け、どんな活動を中心にして高校生活を構成していくのか、特別活動の全体計画と年間指導計画の立て方について考察します。82019 JUL. Vol.428

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