キャリアガイダンスVol.429
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 最終的に我々にとって学校の目標は何なのかというと、自らの才能を駆使して世界をより良くすることが大切だと信じる、責任感ある市民を輩出することだと思います。刺激に満ちた講演に続いて、日本で先駆的な教育に取り組む先生方とのパネルディスカッションが行われ、ディンタースミス氏は以下のようなメッセージで会を締めくくった。 本の中で伝えたかったのは、素晴らしい学校がみんな同じ方法で教育を行っているかといえばそうではなく、みな違うやり方をしていたということです。学校は、すべての子供たちに同じことを教えることに力を注ぎすぎていると思います。ある子供たちが解決しようとする地域課題は、別の場所にいる子どもたちが解決しなければならない問題とはまったく違うでしょう。世界は多様で、私たちはみな違った方法で成功します。それなのになぜ、それぞれの子どもの違った良さを伸ばそうとしないのでしょうか。 とはいえ、米国の教育改革の現場には、共通項もありました。キーワードは「PEAK」です(コラム参照)。ただ記憶し再生する教育ではなく、創造的な課題解決や、批判的な分析、市民性を学ぶ学校に見られた特徴です。私は、今の状況は、先生方にとってもに伝統的な学校から変わったのです。私はそのうちの5つの学校を訪問しましたが、一人も退屈そうな子どもを見ませんでした。幼稚園の子どもたちはロボットを設計していました。子どもたちは自分の映画を作っていました。また彼らは課題を発見し解決するために地域に出掛け、チームで解決に取り組んでいました。5つの学校の30の教室に行って、1日中誰一人として退屈そうな子どもはいなかったのです。 鍵となるのは、緊急性を理解し、今のままで子どもたちを社会に送り出すことがリスクだと確信したリーダーがいたことです。 教育長は地域に出向き、地元の企業やNPOが学校と交流する機会をつくり、子どもたちのキャリアパスの可能性生徒にとってもチャンスだと感じています。なぜなら、もしあなたがあなたの学校を進化させ、このような教育環境を創り出すことができたなら、子どもたちははるかに幸せに学び、教員は信頼されていると感じ、自分たちの仕事が本来の、子どもたちを奮い立たせるという原点に立ち還ったと感じることができるでしょう。そしてその結果、子どもたちが将来、幸せで充実した人生を送れるとしたら。 世界を変える唯一の方法は、献身的な、ノーと言わない人々の小さなグループから始まるといいます。この機会を、ぜひ生かしてください。 So, you can do this!や、ジョブシャドウイングなどの可能性について対話しました。学校の垣根を取り払い、地域に今までと違う学校教育の捉え方をしてもらったらどんな可能性があるのかというビジョンをもっていました。この変革は2年半で起こりました。一から作る必要もみんな同じである必要もない 一から学校を立ち上げる必要はありません。既存の学校においても、より多くの子どもたちが学校という境界を越えて、地域コミュニティに入りやすくなり、自ら大切だと思う課題を発見し、解決方法を創造できるようにすることです。基礎学力不足になるのではと感じ、不安に思う方もいるでしょう。しかし、間違いなく、そのような教育方法がメジャーになるべきです。 その理由の1つは、現実の問題を解決するとき、その解決策は最先端のものでなければならないということです。子どもたちは実社会の問題を、因数分解の演習をやり続けることで解決することはできないのです。意味のある数学に取り組めば、子どもたちに大きな自信と目的を与えます。自分自身の才能とスキルを使い、学ぶ方法を学び、そして世界をより良くするためにさまざまなリソースを活用することができるようになります。PEAKの法則Purpose(目的)生徒が自分たちの世界を良くするために必要で、重要と考える課題に挑戦しているEssentials(必須なスキル)イノベーションが加速する世界で、必要なスキルやマインドセットを習得しているKnowledge(知識)深く、はがれ落ちない知識を学び、創造することや他者に教えることができるAgency(主体的行動力)生徒が自分の学びのオーナーとなり、自律的で内発的動機をもつ大人になるFutureEdu は、「これからの時代を生きる子供達にふさわしい学びの環境とは?」を探究するメディア&コミュニティ。アメリカ、イスラエル、イタリア、韓国など、世界の教育最前線の今を伝えながら、教育実践者が21世紀に相応しい学びの環境を自ら考え、動くことをサポートしている。2018年6月に東京・千代田区立麹町中学校を会場に、イベント「What School Could Be アン/カンファレンス」を主催。当日の様子はWebサイトから視聴可能。Most Likely to Succeed の日本初上映会を実施後、日本語字幕版の制作を実現。以後上映会の普及をサポートする日本アンバサダーとして活動中。2019年8月には2500名を動員した「創るから学ぶ」祭典、ラーン・バイ・クリエイションの立役者でもある。http://www.futureedu.tokyo一般社団法人 FutureEdu172019 OCT. Vol.429

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