キャリアガイダンスVol.429
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 約120年の歴史をもつ進学校の佐賀県立小城高校。同校の最大の特色は、総合的な学習の時間開始前の1996年度から取り組む、「自分」を軸にした課題研究プログラム「オンリーワン活動」だ。しかし、2017年度に着任した永田彰浩校長は、オンリーワン活動を含む同校全体の旧態依然とした状況に、もどかしさを感じたという。「社会が大きく変わるなか、学校教育も変えていく必要があります。20年前と同じ教育実践を繰り返すのではなく、変えるべきは変えて、可能性のある生徒たちをしっかり育てていきたいと考えました」(永田校長) 新しい学校づくりに向け、まずは校是である創意・挑戦・誠実を「不易」とし、新たに教育イノベーションに取り組んでいく方針を「流行」として打ち出した。さらに、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーを設定。目指す方向性の共通理解を図ったうえで改革に乗り出した。 「学校では目標達成のために、弱みを克服する 〝ギャップアプローチ〞を優先しがちです。しかし、現代のように多様な価値が混在し、先行きが不透明な時代には、強みをさらに伸ばしていく〝ポジティブアプローチ〞の方が成果が上がると言われます。本校でも、これまでやってきた地味でも強みになることに目を向け、さらに進化させることを大切にしています」(永田校長) 同校の強みはやはり、長年取り組んできたオンリーワン活動だ。この基盤の上に、10年後に地域社会で活躍する人材の育成を目指したキャリア教育を床柱とするグランドデザインを設計し、さまざまな見直しを進めている。 オンリーワン活動自体は、総合的な探究の時間の趣旨を踏まえ、個人研究より多様な価値観や考え方に触れられるグループ研究の導入や、身近なところから自分事化を目指すための「地域」に関連したテーマ設定、自身の成長を自己評価できるルーブリックの作成などを行い、効果的な実践方法を模索しているところだ。さらに、生徒が将来の目標について「職業」ではなく「何がしたいか」の視点で考えられるよう、これまで業種別に実施してきた「職業別講演会」を、企業の経営者やリーダーが働く意味ややりがい、企業戦略等を語る「キャリア教育特別講演会」へと刷新。学力向上の対策にはキャリアカウンセリングを導入し、10年後を見据えた目標をもつことで学習意欲を引き出す試みを始めた。 同校の新しい学校づくりの特長は、個人のマンパワー頼みではなく、「チーム学校」で組織的に進めている点だ。 例えば、キャリア教育は教育研修部の業務の一部だったが、19年度から研修部、教務部、進路指導部の各分掌に「キャリア教育担当」を設置。同担当を核とし、分掌間が連携して年間計画の立1899年創立/普通科/生徒数667人(男子341人・女子326人)/進路状況(2019年3月卒業)大学189人・短大5人・専修学校38人・就職2人・その他4人学校データお話を伺った先生方。左から2人目が校長の永田彰浩先生。同校のシンボルである樹齢600年の大楠の前にて。小おぎ城高校(佐賀・県立)ポジティブアプローチによりキャリア教育を軸に改革へ 分掌を越えて連携し 〝捨てる〞勇気ももつ小城高校 この3年間の動き不易 本校の校訓である「創意 Originality」「挑戦 Challenge」「誠実 Integrity」を実践する。/「文武一途」を奨励し、総合力としての「生き抜く力」を育成する。流行 国の教育方針や教育改革の流れに敏感に反応し、進んで「教育イノベーション」に取り組んでいく。学校教育方針主な教育実践の変革~キャリア教育を床柱とするグランドデザインの設計~〇課題研究(オンリーワン活動)の充実〇「職業別講演会」を「キャリア教育特別講演会」へ〇キャリアデザイン力チェックシート活用〇キャリア・パスポートづくり 〇授業改善〇ICT利用教育の推進 〇教育相談の充実変革を支える環境整備・アドミッション・ポリシー、 カリキュラム・ポリシー、 ディプロマ・ポリシーの設定・仕事量の数値化に基づく 業務削減・柔軟な組織改変によるチーム化・産学官との協働・共創・地域連携・他校視察や外部研修会への 教員派遣教員の負担・働き方改革も視野に入れ学校の強みを活かす改革をチームで推進242019 OCT. Vol.429

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