キャリアガイダンスVol.429
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案、実践を行う体制へ。研修部主任・丸尾樹範先生は「分掌単独では難しかった大胆な取組も可能になり、キャリア教育への意識も広まった」と話す。 ほかにこんな例もある。不登校や特別支援の対応も同校の重要課題の一つだが、これまでは担任が一人で抱えてしまう傾向があった。そこで18年度より、各学年団を含む7人で構成される教育相談部を創設。同部が中心となって、指導・支援が必要な生徒を掘り起こすなどして情報を集約し共有するチーム体制の整備を進めている。 課題に対する新しい挑戦を行う一方で、教員の負担にも配慮し、ポジティブアプローチの発想による業務削減にも取り組んでいる。次年度の校務分掌を見直すにあたり、まず各分掌の業務内容・仕事量の洗い出しを実施(図1)。それを次年度も網羅的に繰り返すのではなく、優先順位が低い業務を削減し、前年比8割の仕事量に調整する。積極的に〝捨てる〞ことで、浮いた2割のうち1割を新しい取組に充てている。 「『あれもこれも』と欲張るのではなく、断捨離やスクラップ&ビルドの考え方も参考に、『まずはこれ』と絞り込んで無理なく実践する。その方が効果が大きいとの手応えがあります」(永田校長) 同校の「チーム学校」には学校外の教育力も含まれる。オンリーワン活動やキャリア教育特別講演会、教員研修などは、多くの企業や大学などが協力する。「教育の課題は年々複雑化し、学校内だけで解決するには限界があります。価値創造プロセスのパートナーとして産官学と協働・共創し、効果的な実践を目指します」(永田校長) 教員一人ひとりの意識改革にも力を入れている。永田校長は教員に「これまで」よりも「これから」に目を向けて、「あなたはどうしたいかを提案してください」と呼びかけている。今では同校の会議で「従来通り」という言葉は聞かれなくなったという。また、教員が多忙感や疲弊感を溜め込むことなくキャリアプランニング力を育めるよう、企業研修で使われる「MCWの輪」を用いて意識づけしている(図2)。 「『Must』ばかりにとらわれると、心身ともに疲弊してしまいます。先生方には『Can』『Will』を自ら進んで実践し、達成感や満足感をもちながらキャリアアップを図ってほしい。最近、少しずつ『Can』『Will』からの発想が目立ってきたと手応えを感じています」(永田校長) 現場の声に耳を傾けると、オンリーワン活動の充実化に取り組んできた研修部副主任・園田敏博先生は、「オンリーワン活動単独でなく学校教育全体で育成を目指す資質・能力を設定し、生徒自身が評価できる仕組みが必要だと気づいた。チームを組んで取り組んでいきたい」と展望を語る。また、教育相談の体制づくりを牽引してきた教育相談部主任・吉永三貴子先生からは、「生徒がお互いの個性を認め合って生きていけるよう、専門家の協力を得ながら、教員研修や、今後は生徒対象の講演会なども実施し、意識改革を図っていきたい」との目標が聞かれる。 教育イノベーションに取り組み始めて2年余り。日々の勉強に追われがちだった生徒たちも、「少しずつ将来に目を向けた『ワンアップ』への意欲が出てきた」と永田校長。今後も、教員一人ひとりの意志が新しい学校づくりを加速させていきそうだ。育てたいのは自ら進んでやりたいことを掴む生徒たち。そのために試行錯誤を続けています。苦労もありますが、変化がなければ進歩もない。我々教員も進んで取り組んでいきたいと思います。本校で初めて教育相談を担当。校内外の関係者がみんなで生徒の情報を共有し、適切な支援が行える体制づくりを模索してきました。これからもチーム小城を大切に取り組んでいきます。資質・能力ベースで目指す生徒像を学校全体で考えていきたい。そのために教員研修も必要ですが、日常的に教科や分掌を越えて教員同士が話をし、力を合わせていくことが大切ではないでしょうか。園田敏博先生吉永三貴子先生丸尾樹範先生教員同士の話し合いを大切に教育相談も“チーム小城”で教員も進化していきたい改革の主体となった先生たちは…3年間で、個人あるいはグループの探究活動に繰り返し取り組む。今年度は外部コンテストも活用し、マニュアルを基に教員が「教える」から、「共に考える」に方針転換して実施。■オンリーワン活動「Must・Can・Will」の3つが重なる領域が広いほど、モチベーションやパフォーマンスが高まり、充実したキャリアを築いていける。縦軸の業務内容ごとに、月々に発生する仕事量を記入する。月10日以上従事する場合は「1」、月10日未満の場合は「0.5」と概数で表すこととし、表の作成自体には時間をかけない。やりたいこと、なりたい姿(意志・目標・希望)求められること、やらなくてはならないこと(ミッション・職務・責任)できること(能力・才能)「これまで」より「これから」の視点でやりたいことを提案校務分掌の見直し用作業シート図1「MCWの輪」で教員のやりがいを高める図2キャリアプランニング※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.429)取材・文/藤崎雅子「未来を創る主体」を育む学校づくりへ小城高校(佐賀・県立)252019 OCT. Vol.429

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