キャリアガイダンスVol.429
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スタートは緩やかでも、放物線のように熱量が高まり想定を超えた先生たちの活躍に驚くことになったかえつ有明中・高校の佐野先生は、かつて金井氏と共に学校づくりのプロジェクトを進めたメンバーであり、今も対話による組織開発を推進している。同氏にその後の学校の変化を伺った。かえつ有明中・高校(東京・私立)副教頭佐野和之先生 本校に新しいクラスを創設することになり、10人のメンバーで対話をくり返し、コンセプトからまとめた。そんなプロジェクトを金井先生と一緒に進めたのは、6年前のことです。 以降は、他のさまざまな先生とも対話を重ねてきました。全体研修で対話のワークをしたこともありますし、続けてきた自主勉強会の参加者も、1人、2人、5人、10人と増えてきました。昨年後半からは、月1回の職員会議でも冒頭20分は近くの先生同士で対話をしています。各分掌の部長の先生たちが「そのほうがいいのでは」と言ってくれたのです。 対話が広がってきたのは、そこに自分を受けとめてもらえる心地良さがあるからだと思います。そのうえ、そうした自分を出せる場では力も発揮しやすいんですよ。例えば昨年の中学1年担当の先生たちは、他学年所属の授業担当者が修学旅行や宿泊行事で手薄になる期間に、自習ではもったいないと、それぞれが学外で学んできた哲学対話やインプロ、プロジェクトアドベンチャーやマインドフルネスなどを用いて「生徒と共に実践する3日間」を発案し、実現させました。自分を受けとめてもらえる心地良さを知った先生たちは、生徒にもそうした場をつくろうとしたのです。そんな先生たちのエネルギーによって、生徒もどんどん自分を出せるようになって。一番嬉しいのは、そうやって僕の想定を越えたことが自然発生的に起き始めたときですね。対話によって関係性を構築するまでは時間がかかるので、最初の変化は緩やかだと思います。ですが、そうした対話を大事にして続けていくと、気づけば放物線を描くように、みんなのエネルギーが高まっていくんですよ。前ページまでの対話で共有した強みや価値を踏まえ、以下の3つのテーマで対話を継続。関係の質が高まるなかでの思考→行動→結果が“好循環”を生むことを体感し、ワクワク感や自信を得る。1私たちがつくる理想の学校 【60分】各自の強みや価値が生きる理想の学校を想像した後、粘土で表現。2理想の学校の実現方法を考える 【60分】理想の学校に向かう具体的な行動を考える。小さなことでもいい。3実行してみたことの振り返り【60分】行動してみた後で集まり、対話で振り返り。次の行動も考える。 前ページまでに見出した強みや価値を基に、さらに対話を重ねて「どんな学校にしたいか」を思い描き、その実現方法を考えて行動に移せば、いよいよ学校づくりが本格化する。 学校づくりといっても大仰に捉えず、有志でできる範囲から始めるのでもいい、と金井氏は考えている。「やってみて、自分たちで創造できた、という感覚を味わってほしいのです。学校は変えられる。その変革のリソースは先生方一人ひとりがもっているのだと僕は思っています」自分たちで創造できたその経験が明日の糧になる先生同士で「新しいものを生み出せる」楽しさと「この仲間ならできる」という自信を手にする対話で心躍る学校づくり理想の学校を思い描き、実現方法を考えて行動に移し学校づくりの手ごたえをつかむ【60分×3】α手立て生徒に育みたい資質・能力を4つの観点から導き出して対話授業・学校づくりのきっかけにする【50分】β手立てこの取組のみ、弊誌編集長が、全国の先生方から研修講師を拝命した際に行っている実践のアレンジ。生徒の実態、自校への期待、未来で必要な力、授業観の4つの視点から学校の姿を描く。1個人ワーク+グループで対話 【10分×4】ワークシートの項目❶を、個人で考えてキーワードを書き【2分】、続いて数人で、書いたことを1人ずつ発表、聴いた側は共感したことや気づいたことを返す【8分】。項目❷❸❹も同様に進める。2グループで対話+全体でシェア 【10分】数人で、4つの観点を基に生徒に育みたい資質・能力を考え、全体共有。各先生の思いを知り、授業づくり・学校づくりのきっかけに。(※)通常の研修では、場をほぐすアイスブレイク、対話をしやすくする関連トピックの紹介も入れ約2時間で実施。今回は「思ったことを言える」雰囲気が既にあるという前提でこれら要素を割愛。「未来を創る主体」を育む学校づくりへ学校づくりの第一歩を対話から始める312019 OCT. Vol.429

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