キャリアガイダンスVol.429
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きたが、周囲の人のなかには『勉強もせずに何をやっているんだ』と感じていた人もいたと思う。生徒エージェンシーという概念があることで、好きなことにチャレンジすることを肯定的に見てもらえるような気がする」(中畑さん) 「自分の意見をもつだけでなく、それを他の人たちに伝え、共有すること。私自身、自分の考えが社会や未来にどうつながるのかは自分だけではなかなかわからなかったが、周囲の人にいいねと承認してもらうことで、つまり客観的な視点が加わることで、つながりを実感できエージェンシーが高まるように感じた」(竹内さん) また、1日目に行われたグループ学習では、「エージェンシー」、「AARサイクル」、「より良い未来の創造に向けた変革を起こす力」、「コンピテンシー&2030年に向けたウェルビーイング」のテーマが割り振られ、ラーニング・コンパスと自分たちの実践とを照らし合わせながらディスカッションが行われた。さらに、各グループで出た議論と知見を全体共有し、エージェンシー(生徒エージェンシー、Teacher Agency:教師エージェンシー、Co-Agency:共同エージェンシー)については次のような意見 2015年、ISNの中核メンバーである福島大学・三浦浩喜教授の呼びかけに集まった、福島市内の中学生約20名によりスタートした福島市チーム。「福島市には自慢できる魅力がない」という生徒たち自身の課題感から出発し、地元の人々の協力を得ながら「中学生の目線から地域の魅力を再発見し観光プランをつくる」という政策提言をまとめ、翌年の夏には観光プランを実行した。 メンバー全員が高校生になった2018年には、活動の輪を広げるために「福島市を創る高校生ネットワーク(FCN:F-city Creators Network)」を結成した。大学進学者の5人に4人が県外に出てしまうという課題から、福島市を自分たち高校生が元気づけ、愛着をもてるようにしようと、「福島市高校生フェスティバル」を企画。「大人じゃできないことがある!」をテーマに、高校生が自分たちの手で創り上げた。FCNが掲げる目標の一つが、「高校生がやる気を示すことで大人に影響を与える」。これはまさに、生徒エージェンシーを体現したものだといえるだろう。また、こうした活動と並行して、台湾の台中市私立立人高級中學と交流を深め、現在では人口減少問題などの共通課題に協働して取り組もうとしている。が提示された。◆生徒を誘導するタイプだった先生が、私たち生徒が自分たちのやりたいことや意思を伝えるようにしたら、それを尊重してくれるようになった。生徒と先生は、お互いに変われる。◆高すぎる目標を与えることで生徒のエージェンシーをつぶしてしまうことがあるように思う。生徒エージェンシーをいかに伸ばすかは、教師側の力量が問われる。◆教師エージェンシーは、doing(何をすべきか)ではなくbeing(どうあるべきか)が重要だと感じている。 さらに、2日目には「エージェンシー」、「私たちが望む未来」、「より良い未来の創造に向けた変革を起こす力」、「カリキュラム改革」の4つのテーマに分かれ、研究・実践から知見を得るワークが行われた。エージェンシーについては、東京学芸大学次世代教育研究推進機構の柄本健太郎氏が「エージェンシーとは何か?」を掘り下げる現在進行中の研究の一端を紹介し、福井大学教育学部附属義務教育学校の柳本一休先生が、実践紹介として自身の数学の授業の様子を紹介した。そのなかで柳本先生は「教科としての知識・概念・コンパスと実践とを照らし合わせて意見を交わす生徒が主体的に学び習得したコンピテンシーは消失しない●高校生フェスティバルでは、各メンバーが得意なことを活かせるよう、活躍の場づくりを意識しました。途中で何度も壁にぶつかりましたが、最終的には多くの高校生を巻き込むことができ、さらに他の市町村にも活動の輪が広がっていて、とてもうれしいです。(福島県立福島南高校3年 山谷実加さん)●福島市の魅力を発見するために農家の人に話を聞きに行ったり、台湾の学校との交流では2泊3日の訪日プランを自分たちで考えて実行したり、台湾に行って高校生フェスティバルのことを発表したりして、たくさんの人とつながりながら活動しています。(福島県立福島東高校3年 本多美久さん)●福島市をより良い街にしたいという思いがあり、中学生の頃から活動に参加しています。学校の探究活動でも「福島市は将来どうなっていくか」というテーマを設定し、FCNの活動と連動させながら取り組んでいます。(福島県立福島東高校2年 武藤昌大さん)生徒の声高校生の力で福島市を盛り上げ、周囲の大人に影響を与える福島市を創る高校生ネットワーク(FCN)「高校生フェスティバル」の様子。今年は10月27日に開催予定。写真左から、山谷さん、本多さん、三浦先生、武藤さん。362019 OCT. Vol.429

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