キャリアガイダンスVol.429
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※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.429)大学進学後も、履習科目の選択やゼミ選択、卒業研究などにおいて新たな課題を設定し、探究心を失わず学び続けていた。 神田先生のインタビューでは、高校時代の彼らが進路指導のどういったことにハードルを感じ、どういうツールを使い調べ、どう考えて乗り越えていったかという過程も調査。それらを整理して、先輩たちの試行錯誤のプロセスを誰もが再現できるよう、資料とワークシートの形でカリキュラム化した(ツール2)。 授業は4コマで構成され、最初に3人の先輩の経験談から進路探究の具体的なイメージをもってもらったうえで、ワークシートに今の自分の進路希望、これから調べたいことを書き出してもらう。その後4回にわたり、調べてわかったこと、さらに知りたいことのまとめと調査を繰り返す。そこでは自分の考えだけではなく、他者や社会の視点から、そのテーマの社会的な意味や課題点、そこへ自分がどう関わりたいかを考えさせることを大事にしている。そして最後には、将来の社会への関わり方、社会での役割、解決したい課題から、大学進学後に学びたいことや研究したいこと、そのために今の学校生活で力を入れて取り組みたいことをまとめていく。 短大・専門学校コースや就職コースでは、生徒は学びたい分野や就きたい職業についてある程度の志望はもっているが、限定的な知識と情報のなか、自分との紐づけが弱く漠然とした志望になっているという課題があった。そのため、自分が進みたい分野や業界のリアルな実態や将来性などに触れることで、ただ自分がやりたいというだけではなく、自分の適性と社会での役割を考えながら進路選択ができるよう、上級学校や企業のガイダンスを柱に、進路探究のカリキュラムを設計した。 これまでのガイダンスでは、学校や企業からの一方的な宣伝になりがちだった内容を一新。短大・専門学校の場合、各分野に将来どんな可能性や課題があり、どのようなニーズが発生し、それに応えるためにどんな人材が必要なのかという観点から、それを育てるためのカリキュラムや施設などの話をしてもらう。「例えば、今どういう資格が取れるかではなく、5年先、10年先の未来を語ってほしいと考えています。そして生徒にも、目先の進学や資格だけではなく、どういう保育士になりたいか、どういう看護師になりたいかを考えてほしい」と神田先生は言う。 企業の場合も同じだ。「生徒には、車が好きだから自動車関係の仕事に就きたいという自分視点の他に、その企業は自分以外の人や社会にとってどのような存在なのかという他者視点ももつよう指導する」ということで、ガイダンスでは社会への貢献、人々への関わり、存在価値などを中心に、社会との接続に力点を置いて話してもらっている。 また、生徒自身がそれを自分事化しな自分視点だけに偏らず他者視点や社会との接続を考えられるガイダンスに【大学コース】先輩の体験談でこれからの進路探究のイメージをもってもらい、現時点での自分の進路希望を書き出す。ワークシートは表面に進路についての考えや調べたことを記入。終わったあとに通して見ることで自分の変化がはっきりとわかるようになっている。ワークシートの裏面には先輩の進路探究の体験談を簡単にまとめたものを掲載。どのように探究していけばよいか参考にできる。その後4回にわたって、自分の視点/他者・社会視点から調べたいこと、わかったこと、さらに知りたいことのまとめと調査を繰り返し、ワークシートに記入。最後に、これまでの探究を経て、将来の社会への関わり方、解決したい課題から、大学進学後に学びたいこと、そのために今取り組みたいことをまとめる。【ある生徒の場合】「スポーツマネジメント・スポーツチームの運営」に興味があり、調べたいことは「就職先の種類」として進路探究をスタート。探究しているうちにスポーツと地域の関連に気づき、「プロスポーツチームの社会貢献において、ホームタウンが中心になると地域間の不公平が生じる」という課題を発見。その課題解決のために地域とプロチームの関係について学びたいという思いに志望が進化。それに向けて今取り組みたいのは学力向上とのこと。裏表3人の先輩の体験談ツール2進路探究ワークシート(大学進学希望者対象) 422019 OCT Vol.429

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