キャリアガイダンスVol.429
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思い描いている授業の在り方市の政策コンテスト優勝チーム、福岡市長との記念写真。高校生が小学生に料理を教え、地産地消も進める「小さな料理人計画」ほか、健康と農業活性化のための複数の政策を「美食遺産」と銘打って提案。目指す生徒像他の教育活動や社会とのつながり● これからの自分の生き方や、自分以外の人の暮らしを、柔軟に想像することができる。● どんな社会ならよりよく生きられるかを自分で考えようとしていて、必要な知識も身に付いている。● 頭で理解するだけでなく、やってみて失敗があれば修復し、学んだことを実践にも生かしていける。・ 生徒がより良い調査研究や発表に挑めるよう、まちづくりや食に関する人・団体・イベントを積極的に紹介・ 自分の関わる地域活動(移動カフェ、宙いもプロジェクト、子育ち食育実行委員会など)も生徒の学びの場に・ 文化祭や体育祭など、体験による生徒の成長を見極め、授業の接し方を調整家庭科の授業・ 毎授業、学んだことを基に出力(実習や発表)・ 準備して幼児と遊ぶ、自作の弁当や菓子を人に贈るなど、他者のために学びを役立てる機会も重視・ 「まちづくり」の授業では実社会に働きかけ・ よりよく生きるための暮らしの知識(食物・被服・住居・保育・家庭経営に関する知識など)・ 試行錯誤しながら自分のものにする実践力・ 多様な暮らしへの想像力と、多様性を受容する力知識や能力を「活用」する場面知識の「習得」や能力の「育成」急に死んだりしても、後悔しない生き方をすることが大切ではないかと思った」 「子どもを持ったときにどうするかなど実用的なことを学び、実際に自分たちで(離乳食やオムツの実習・実験を)やることで理解を深めることができた」 「結婚するって、生きるって、私って何なのか。よりよく生きるにはどうすればいいのか。たくさんの視点をもらったと感じています。こうしたことを考えて、何かを変えていくのは、すごく心に摩擦を生むことだと思うけれど、力みすぎず立ち向かえばよいのかなあ、と思っています」 一方、2年生の選択科目「まちづくり」を取った生徒たちは、回を追うごとに授業の枠に収まらない活躍まで見せるようになる。入交先生が仲介しなくても、市役所の各課に相談に行く生徒が現れた。竹灯籠のイベントや寒天づくりのように 1年生の「家庭基礎」の授業では、「出力」の一つとして、毎時間おのおのが自分の思いをプリントに綴り、学期末には全体を振り返っての感想も書いている。それらの記述に目を通すと、生徒たちの視野が広がり、自分で考えて実践することへの自信も深まったことがうかがえた。 「(共同生活を描いた映画を観て)僕は家族の在り方として普通ではない、という違和感をもった。でもよくよく考えてみると、その〝普通〞という考え方が固定された考えだと感じるようになった」 「身近な人が突然亡くなったり、自分が(コラム参照)、授業で実現させたことを後輩に引き継ぎ、地域の恒例イベントにまで発展させるケースも出てきた。 外での発表にも果敢に挑んでおり、授業から生まれた寒天づくりプロジェクトは「全国高校生MY PROJECT AWARD」(※)で文部科学大臣賞に。また、生徒たちが数人でチームを組んで参加した茨木市の政策コンテストでは、女子チームの政策「美食遺産」が、大学生や社会人のチームを抑えて最優秀賞に輝いた。 目下、入交先生は、こうした生徒発の提案をできることから実現しようと、地域の先行事例の研究にも力を入れている。 「まだ私自身、わからないことだらけですけれど。でも、『知らないことがある』から学ぶことは楽しいと思うのです。教員が学ぶ楽しさを知っていれば、その感覚はきっと生徒にも伝わると信じています」生徒はこう変わる視野が広がり、自ら動いて学ぶことを楽しむように■ INTERVIEW森島さん「『まちづくり』の授業で、僕はもう一人と組み、竹灯籠のイベントを開催しました。茨木高校の体育祭では、骨組に竹を使った巨大マスコット9体を生徒が自作するのですが、大量の竹がゴミになる問題がありました。SDGsの取組としてその竹とペットボトルを再利用して灯籠を作り、街路に飾りまちを照らす。そんなイベントを、市役所や保育園の子たちと協力して行ったのです。中学ではアクティブではなかった自分が、高校でこんな体験ができるとは思っていませんでした」上野さん「僕は二人組で、かつて茨木で盛んだった寒天づくりの復活に挑みました。最初は産業復活を目指したのですが、行き詰まり、先生や地域の人に相談するなかでモノ消費からコト消費という考えを知り、『まちおこしイベントの寒天づくり』という形で復活させることができました。先生の中には早くからその案があったそうなんですけれど。でも、先生が敷いたレールを走らされるのではなく、自分で悩んだから面白かったし、いい経験になったと感じています」地域の人と関わって自分たちで形づくる面白さを知った左:森島湧喜さん、右:上野隼人さん(※)全国高校生MY PROJECT AWARD…探究型学習・マイプロジェクトを実行した全国の高校生が、書類選考や校内・地域の発表会、地域大会を経て、一堂に会しプロジェクト活動を発表するアワード。NPO法人カタリバ主催。592019 OCT. Vol.429

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