キャリアガイダンスVol.430
15/66

bとdの識別が苦手な生徒もいて、英語のスキルは発展途上。でも工藤先生はそこだけにこだわっていない。 「英語学習を通して『私はこう思う、理由はこうだから』という文の組み立てができるようになれば、日本語の意思疎通にも生かせます。英単語がおぼつかなくても、外国人と会ったときに〝Hi!〞と挨拶して翻訳アプリも使って話そうとする姿勢があれば、コミュニケーションは取れます。英語のスキル以上に、そうした本質的な伝える力、人と関わる力を伸ばしたくて、『自分はそれができる』という自信を何よりも育みたいです」て立つ人』たちなんですよ。だから、よそから来た人とも怖がらずに関われるようになってほしいし、道で困っている人がいれば避けずに助けようとしてほしい。そしてそんな人との関わりから『あなたがいてくれて良かった』と認められる体験もたくさん味わい、生徒自身が幸せに生きてほしい、と思っています」 関わる手段となる語学力はどうか。 人と関わる力やその土台となる自信を育むために、工藤先生が心掛けているのは、単元ごとに目の前の生徒に合ったゴールを設定することだ。「単元の内容〝を〞漏れなく教えることより、単元の内容〝で〞生徒が何ができるようになるのかを重視します。例えば『関係副詞を使った表現ができる』 釧路東高校に赴任して間もないころ、工藤よしの先生は、授業中に生徒たちから「俺らにかまうな」「放っておいて」と言われたことがある。驚いて事情を聴き出すと、中学生の時に、成績が伸び悩むなかで「学校や塾の先生から相手にされなかった」と感じる経験をそれぞれがもっていた。 同校の生徒は、中学校までは勉強が得意とはいえず、自分に自信がない生徒が多い、と工藤先生は感じている。「誰とでもうまくやる」ことへの苦手意識もあるようで、友人以外とは同じクラスでもあまり関わらない。釧路湿原のある地元にはアジアや欧米からの観光客も増えているが、外国人にも恐怖や嫌悪を抱きがちだ。 「ですが、本校の生徒はこの地元で暮らしていくことが多く、『釧路を背負っ英語教員歴6年目。大学で心理学を専攻したあと、旅行会社の添乗員、主婦を経て、北海道教育大学の教員養成課程で学び、高校教員に。自身も釧路出身であり、これからの釧路を背負って立つ人を育てていきたいと思っている。工藤よしの先生釧路東高校(北海道・道立)生徒に合ったゴールを定め、小さな階段を全員で学び合って登る授業デザインへの落とし込み英語スキルの枠に収まらない伝える力、関わる力、自信を育みたい生徒の課題・育成したい力取材・文/松井大助 撮影/平澤 智理念から創る授業「あなたがいて良かった」と思い、思われる授業一緒にやろう。できることはある。学び合うにはあなたもみんなも必要なんだ152019 DEC. Vol.430

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る