キャリアガイダンスVol.430
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習得する勉強を高校でも続けてしまうのです。しかし、自分で考えずに解法を再現するだけの勉強をしている人には限界があります。定期テストでは点数がとれるのですが、3年生になり受験勉強が必要になったときに、伸びが止まってしまうのです」 実際、「この問題、解けますから」と言う生徒にその問題や分野に関する本質的な問いかけをしてみると、「それはわかりません」と返ってくることが多かった。解き方は知っているものの、数学的な意味や理論(Why)が理解できていない。典型問題はスラスラ解けるものの、ちょっとひねった応用問題は解けない。そんな生徒が少なくなかった。目の前の現象や結果に対して疑問を抱き、原因を追究して納得できるまで考え抜く姿勢をもってほしい。たとえ受験直前であっても、Whyの部分を知りたいという情熱が抑えきれないような生徒を育てたい。そう考えた吉田先生は、附属高で培った授業スタイルを、基町高校でも実践し続けた。教材ができていたのですが、それが何の役にも立たなくて。衝撃でしたね。そこからすべてを見直し、再構築していきました。当時は大変でしたが、あの時期に教員として一から勉強できて本当に良かったと思います」 以来、「授業スタイルをガラリと変えた」という吉田先生だが、その2年後に現在の勤務校である基町高校に赴任し、新たな課題に直面した。基町高校は県内でも有数の進学校で、各中学校からトップクラスの生徒が集まる。そんな成績優秀な生徒たちならではの課題があったのだ。 「中学校の定期テストでは、限られた範囲の問題の解き方を暗記してその通りに再現すれば、ある程度点数がとれます。本校にはこのやり方で成功してきた生徒が多く、彼らはHowばかり 問題の解き方ではなく、その背景にある数学的な意味を考え、理解することに重きを置き、授業をデザインする吉田浩一先生。実は、人事交流で赴任した前任校、広島大学附属高校で教鞭を執るまでは、解法を教えることに主眼を置いた授業や、入試問題でいかに点数を取るかという受験指導を行っていた。 「附属高の生徒たちに対しても、当初は教科書をベースに解法を教えるような授業をしていましたが、生徒たちはどこか不満そうでした。ところが、数学的な意味や本質に触れるような話をすると、みんな目を輝かせるんです。テストに出る・出ないに関係なく、純粋に知りたいのだという気持ちが伝わってきました。それまで15年間公立高校で教えてきて、自分なりのストーリーや数学教員歴31年目。広島県出身。広島市立高校2校、広島大学附属高校での勤務を経て、2006年より現職。県内外の生徒や教員の指導にもあたり、教員間の交流を大切にしているほか、近年は若手の育成にも力を入れている。吉田浩一先生広島市立基町高校(広島・市立)問題は解けて成績は優秀。でも、「なぜ」を理解できていない生徒たち生徒の課題・育成したい力取材・文/笹原風花 撮影/納屋俊希理念から創る授業身近な事象から数学を捉え、本質を考える授業考え抜く楽しさ、知る喜びを体感し、自分で創造できる人になってほしい182019 DEC. Vol.430

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