キャリアガイダンスVol.430
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するような体育教師でした(笑)。もちろん根底には情熱も必要ですが、気持ちを押しつけるだけで生徒が変わるわけではないんですよね。今は『考えよう』『工夫しよう』と促しています。失敗したら次を考え、少しでも改善していく。それができれば、体育だけでなく、普段の生活でもその力を生かせると思うからです。例えば、幸せの形は人それぞれだけど、自分の思う幸せに向かって何ができるかを諦めずに考えたり。体育の授業を通して、生涯にわたって運動を楽しむ力を育むとともに、そうした『諦めずに次を考える力』を身に付けてほしい、と思うようになりました」敗を乗り越えることを、十分に経験できずにきたのかな、と思うのです」 その生徒たちにどんな授業をすればいいだろう。模索するうちに、「体育はいっぱい失敗できる教科だ」と気づいたという。「できない」「うまくいかない」は体育にはよくあること。でも改善点を考え失敗を乗り越えると、自分の成長を実感できる教科でもある。 「以前の私は、愛と情熱と根性で勝負 前橋清陵高校の体育は2コマ続きの90分。樫﨑先生は基本的に、前半に体つくり運動を行い、後半に選択種目を行う流れにしている。 その活動のなかで、おのおのが「次を考える力」を育めるように、授業は一斉 「体育は嫌い。公開処刑のようだから」 前橋清陵高校で中学時代の体育について生徒にアンケートを取ったところ、運動が苦手で傷ついてきた声が寄せられた。樫﨑婦左先生は自分も傷つけていなかったかとショックを受けた。 同校は、群馬県初の定時制で学年の枠のない単位制高校だ。定時制昼間部・夜間部と通信制があり、樫﨑先生は昼間部に属している。生徒の約半数は中学時代に不登校を経験、学校に複雑な思いをもつ生徒が多い。 また、「やらされることに慣れていて、言われたことだけをやろうとする」という傾向も感じている。「失敗すると、くじけやすい」とも。 ただし、それが生徒の元々の気質だとは樫﨑先生は思っていない。 「自分で考えてやってみることや、失体育教員歴21年目。県立高校2校に勤務後、視野を広げようと希望して特別支援学校に。その経験を生かそうと再度希望して現任校に。校内研修推進委員として教科横断の授業改善にも取り組み、2018年度には県の優秀教職員の表彰を受ける。樫﨑婦左先生前橋清陵高校(群馬・県立)生徒たちが運動メニューを計画教員は振り返りノートで対話する授業デザインへの落とし込み「公開処刑」「できない」の見方を覆し「諦めずに次を考える力」を育む生徒の課題・育成したい力取材・文/松井大助 撮影/城田正明理念から創る授業生徒が計画・実行・振り返りをして考え続ける授業自分で考えて、いっぱい失敗して、じゃあ次はどうするか、諦めずに考えよう212019 DEC. Vol.430
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