キャリアガイダンスVol.430
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えようとする生徒の姿に、手応えを感じます。自分との関連付けの問いなどは『受験に出ないのに』と思っている生徒も今はいるかもしれませんが、探究活動に取り組むときや進路の志望動機などを考えるときに『林の言っていたのはこういうことやったんや』と思ってくれればいいと考えています」 「一人ではなかなか新しい発想が出てきません。地理を通して社会貢献できる人材や多文化共生の心を身につけさせるために、他県や世界で起きていることを『生徒に自分事化させる発問』が必要です。言うは易しですが、実際に考えると教員は真面目なので、生徒が興味を引くような発問のアイデアがなかなか浮かばないものです。だからこそ、自分からも発信し、人のアイデアからも学ぶことで、授業をもっと進化させていきたい」 学習指導要領の改訂で「地理総合」になると、教員自身もさらに新しい学びの必要性に迫られる。 「専門教員が少ない科目なので、他科目や他校の先生とも切磋琢磨できるチャンスだと考えています。目の前の生徒にさらにフィットする授業をしていくためにも、自分自身のスキルをさらに上げていかねばと思っています」 グループ学習にも主体的に考えることにも慣れていなかった生徒たちは、林先生の授業を受け始めた当初は班をつくってもなかなか話すことがなかったそうだが、この日の授業では先生が問いを出すと今までに自分が書いてきたノートのメモを見返して話し合ったり、お互いの知識をかけ合わせながらみんなで答えを導き出そうとしていく姿が見られた。林先生が考査ごとに実施している生徒自身の振り返り(下図)でも、受け身から積極的に仲間と主体的に学ぶことで自信がついていったり、知識の関連付けで理解が深まる様子がうかがえる。 「少しずつではありますが、答えが一つではない問いを出したときに、こちらの意図を理解して自分なりの答えを考力の形成と学力の向上など、生徒の中にある知識と経験との結びつきに隔たりがあると感じていたころだった。 「それで、アクティブラーニング型の授業を取り入れ、答えのない問いを生徒に考えさせることで、授業の中で生徒のキャリア形成を試み始めました」 以後、その上司の先生がつくった学校を超えた有志の勉強会「三重県若手進路研究会」に参加し、現在は会長を務めている。長期休暇の時期に集まって、授業実践をしたり、最新の学びについての情報共有をする場だ。林先生自身も他県の研修会などに講師として赴くこともある。 林先生は今までに、外部の研修会などに積極的に出かけて、全国の先生たちのさまざまな授業アイデアを吸収している。また、他教科・他科目の教材にも常に目を通している。きっかけは、前任校でキャリア教育を推進していた管理職との出会いだ。 「外部の勉強会にいろいろ連れて行ってもらって、教科のおもしろさを生徒に伝えるだけでなく、生徒自身が俯瞰して自身を見る力を授業でも養わなければいけないと気づいたのです」 進路担当だったときに、キャリア教育のイベントなどを多数企画してきたが、それが単発で終わってしまい、人間仲間と共に、主体的に取り組み自信をつけ始めた生徒たち生徒の変容・成長自分発信&他者からの学びで新しい科目にも対応していきたい授業デザインの磨き方●以前よりも過去に勉強したことと関連付けて学習しました。グループ学習では、間違えてもいいからとにかく思いついたことを発言して話し合いをしました。まだまだ知識が足りないのでもっと学習してより良い発言ができるようにしたいです。●受け身でなく主体的に取り組めたと思う。グループ学習も、誰かが何もすることがない状況ではなく、協力して問題の解決に取り組めた。●授業に主体的に取り組んだら、模試の点数も上がり、人に説明することは、自分の理解も深まり相手の学力向上にもつながりとてもいいことだと思ったので、これからもがんばっていきたいです。●班学習では、先生の出した問題をわかる人がいたらその人が発言して教えてくれたし、自分も教えることができた。わからない問題はみんな積極的に教科書などを使ったりして調べた。自分で考えてわかった問題は身につくと思った。●3年になって初めて林先生の授業を受けて、地理の班活動が1学期は慣れずに発言も少なかったが、2学期になってだんだん自分からも積極的に発言できるようになり、班の皆の力で上げていけるなと思うと同時に、班活動の大切さが改めてわかった。●積極的に班内で情報を共有しました。穴抜きされているところだけでなく、プラスアルファで地形や生産物を確認し合ったり、英語が出てきたらどういう意味があるのか調べるなどしました。林先生自身が外部の研究会で講演することもある。自身が実践している授業の導入や発問の例を挙げながら、地理をキャリア教育にするためのポイントを伝えている。生徒たちの振り返り生徒の声262019 DEC. Vol.430
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