キャリアガイダンスVol.430
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二分脊椎(にぶんせきつい)症という先天性の病気のため、生まれつき足が動かず、3歳から車椅子で生活しています。しかし小中高と特別支援学校ではなく普通学校に通っていました。たくさん不便はありましたが、不便はアイデアを出すチャンスだと考え、工夫して解決することを自然に繰り返していました。 小学校から高校まで音楽が大好きで、将来は音楽の先生になろうと思っていました。でも高2の時に開催された長野オリンピック・パラリンピックでその夢が変わりました。新設された長野駅を見に行った時、ものすごく使いづらくて、日本の建築を変えなきゃいけないと思ったんです。この瞬間、僕の夢は建築家に変わり、卒業後は地元の信州大学工学部建築学科に入学しました。 しかし大学2年生の時、また大きな転機が訪れました。アイススレッジホッケーとの出会いです。下半身に障がいをもつ人がスレッジというソリのような道具に乗ってプレーするのですが、一度体験しただけで「僕はこれで活躍できる。金メダルを目指そう!」と思っちゃったんです。理屈じゃなくて直感ですね。その瞬間から音楽はすっぱりやめて、アイススレッジホッケーに没頭。2006年トリノパラリンピック、2010年バンクーバーパラリンピック、2018年平昌パラリンピックに日本代表選手として出場し、バンクーバーパラリンピックでは銀メダルを取りました。 2012年にアメリカにホッケー留学した時に、また運命を大きく変える出会いがありました。日本から来ていた小児科医に「大祐みたいに障がいをもって生まれた子どもとお母さんのケアが難しい。この課題を解決してほしい」と頼まれたんです。元来、課題解決が趣味なので、帰国後2014年にD-SHiPS 32(ディーシップスミニ)というNPOを立ち上げました。 具体的には障がい者と健常者の親子が一緒に参加するスポーツ大会やキャンプなど、両者が時間と空間と体験を共有する場を提供しています。日本社会って、異質なものを分けたがるじゃないですか。この悪しき風習を打破して、障がい者、健常者がやりたいことをよりできるようになったり、住みやすい社会を作ることを目指しています。実際にイベントを開催すると、障がいの有無にかかわらず子どもがすぐに一緒に遊び始めるのですが、その姿を見て保護者の意識も変わっていくのを感じます。 このほかにも社団法人を立ち上げたり自分の会社を起業して、自治体や企業と一緒にインクルーシブデザインの新商品を開発したりイベントを開催しつつ、企業の契約社員として働いたりと、いろいろな立場でさまざまな活動に取り組んでいます。 だから一見、フラフラしてブレているように思われがちなのですが、すべて一つの軸をもって動いているんです。その軸とは「すべての子どもがハッピーになること」。僕が取り組んでいる活動はすべてそのためです。故に周りからどう思われようが全然気にならず、自信をもって活動に取り組んでいけるわけです。 だから高校生の皆さんにもぜひ自分の“軸”を見つけてほしい。そのために、たくさんの経験“地”を踏むこと。未知の場に足を踏み入れるからこそ、新しいことを聞くこと、見ること、嗅げること、触れること、感じることができる。それによって、経験“値”が上がる。そうなれば徐々に大きな目標にチャレンジでき、一つひとつクリアすることでレベルが上がり、最終的な目標や夢に手が届くようになる。このシステムはドラゴンクエストなどのロールプレイングゲームと同じなので、ゲームの主人公になったつもりで楽しみながらがんばってほしいですね。1981年、長野県生まれ。生まれつき二分1981年、長野県生まれ。生まれつき二分脊椎症という障がいをもちながらも、小・中・脊椎症という障がいをもちながらも、小・中・高と普通学校に通学。19歳で出会ったアイ高と普通学校に通学。19歳で出会ったアイススレッジホッケーに熱中。2006年トリノ、ススレッジホッケーに熱中。2006年トリノ、2010年バンクーバー、2018年平昌と3大2010年バンクーバー、2018年平昌と3大会パラリンピックに出場。2014年、「障がい会パラリンピックに出場。2014年、「障がい者と健常者が時間を共有する場を創ること者と健常者が時間を共有する場を創ることで、誰もが夢をもって挑戦する社会を創造すで、誰もが夢をもって挑戦する社会を創造する」をコンセプトにNPO法人D-SHiPS32をる」をコンセプトにNPO法人D-SHiPS32を設立。2017年、一般社団法人障害攻略課設立。2017年、一般社団法人障害攻略課を設立。障がいをもった子どもたちやその親を設立。障がいをもった子どもたちやその親たちをサポートしながら、企業や自治体と連携たちをサポートしながら、企業や自治体と連携して商品開発や街づくりを行っている。して商品開発や街づくりを行っている。2016年にはNECに契約社員として入社。2016年にはNECに契約社員として入社。2020年の東京オリンピック・パラリンピック2020年の東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げるための推進活動を行っている。を盛り上げるための推進活動を行っている。うえはら・だいすけうえはら・だいすけ希望の道標取材・文・撮影/山下久猛経験〝地〞を増やして経験値を経験〝地〞を増やして経験値を上げることで、堂々と人に語れる夢を上げることで、堂々と人に語れる夢を見つけてほしい見つけてほしい健常者と障がい者の共存を目指す健常者と障がい者の共存を目指すNPONPO代表/上原大祐代表/上原大祐32019 DEC. Vol.430
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