キャリアガイダンスVol.430
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化は、観点別評価が「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」の4観点から、新学習指導要領における資質・能力の三つの柱に対応する「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点となったことです。 そして、高校にもこの観点別評価を導入することになりました。小学校から高校まで一貫して資質・能力の育成を重視するという強い姿勢の現れといえます。ペーパーテストのみに頼って評価してきた高校では、評価方法の見直しは避けて通れないでしょう。 では、3観点でどのように評価すればよいのでしょうか。「知識・技能」を評価するには、ペーパーテストもその材料になるのですが、事実的な知識の習得を問う問題だけでなく、文章で説明を求めるような知識の概念的理解を問う問題も大切です。 「思考・判断・表現」は、評価の材料として論述やレポート、作品などが考えられます。既にこうした活動を授業に取り入れている先生は多いでしょうが、評価にも組み入れていく必要どんな生徒像を描いているか授業はその先の姿につながっているか「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」に掲載の図を基に編集部で作成表に数字を付けることとイコールではなく、生徒にとっては学習改善、教師にとっては授業改善に生かすことこそ本来の役割なのです。中教審のワーキンググループでは、その基本を強く意識しながら議論し、「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」をとりまとめました。 今回、指導要録上の最も大きな変があります。 そして、最も難しいのは「主体的に学習に取り組む態度」です。誤解されやすいのですが、これは挙手の回数やノートの取り方などのことを指すものではありません。「報告」では、「粘り強い取組を行おうとする側面」と「自ら学習を調整しようとする側面」で説明されています。 「学習の自己調整」というと難しく聞こえますが、「自分で学習のPDCAを回すこと」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。計画を立て、実行し、評価、改善していくというサイクルを自分で進める。これは、社会で生きる重要な資質・能力の一つです。単に何時間勉強したかではなく、どういう工夫をして改善しようとしているかに注目し、評価していくとよいのではないでしょうか。 また、観点別評価全体において、年度や単元、課題の冒頭に、これによって身に付けてほしい力や態度を明確にし、生徒に説明することも重要です。生徒は各自で活動を意味づけて取り組むことができ、授業の効果も高ま学習の自己調整とは生徒が自分でPDCAを回すこと学習指導要領に示す目標と評価の関係図2各教科における評価の基本構造●各教科における評価は、学習指導要領に示す各教科の目標や内容に照らして学習状況を評価するもの (目標準拠評価)●したがって、目標準拠評価は、集団内での相対的な位置付けを評価するいわゆる相対評価とは異なる。学習指導要領に示す目標や内容観点別学習状況評価の各観点知識及び技能知識・技能思考力、判断力、表現力等思考・判断・表現感性、思いやりなど学びに向かう力、人間性等主体的に学習に取り組む態度※この図は、現行の取扱いに「答申」の指摘や新しい学習指導要領の趣旨を踏まえて作成したものである。・ 観点ごとに評価し、生徒の学習状況を分析的に捉えるもの・ 観点ごとにABCの三段階で評価・ 観点別学習状況の評価の結果を総括するもの。・ 五段階で評価(小学校は三段階。小学校低学年は行わない)評定・ 観点別学習状況の評価や評定には示しきれない児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況について評価するもの。個人内評価322019 DEC. Vol.430

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