キャリアガイダンスVol.430
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ると期待されます。  観点別評価の導入に、高校現場では戸惑いもあるかもしれません。しかし、これを、どういう生徒像を目指すのかについて、改めて学校全体で考えるきっかけにしてほしいと思います。こういう大人になってほしいという、先々の成長まで見通しているか。そんな視点で、授業と評価を見つめ直してみてください。黙々とノートを取り、ひたすら問題集に向かう生徒とは違う姿が見えてこないでしょうか。 具体的に授業と評価を変えていくにあたっては、先生一人ではハードルが高いと感じる場合もあるかもしれません。特に高校は教科の専門性が高く、日常的に他教科の授業に踏み込む機会は少ないと思いますが、教科を超えて先生方がみんなで授業を良いものにしていくことも可能ですし、非常に有効な方法です。 例えば、私は学校の教員研修で、こんなワークショップ型の授業検討会を行うことがあります。簡単に言うと、参加する先生方に3色の付箋を渡して、見学した検討対象の授業について、①工夫されてよいと思った点、②改善点と代替案、③自身の教科でも応用できそうな点を各色にメモ書きしてもらい、それを使って5〜6人のグループに分かれて意見交換するという方法です。 ポイントは、③のメモを通じて、自身の授業に置き換えてみること。教科や学年、小中高の校種の違いがあっても、それぞれの先生方が自分の授業で活かせるヒントは必ずあるはずです。実際にやってみると、どの先生が何の教科かわからないぐらい活発に意見が出され、大変盛り上がります。 それはやはり、先生方の根っこに〝目指す生徒像〞があり、コンテンツは違ってもお互いの授業から学ぶものがあるからでしょう。授業検討会の後、職員室で授業について話題にすることが増えたという報告も、数多く聞かれます。授業が変わることで子どもが変わり、教師自身が変わり、学校全体のカルチャーが変わっていく。各校がそうした好循環に向けて、第一歩を踏み出すことを願っています。 最後に、私事になりますが、学校現場に入りたいという希望が叶い、今年の春から私立中高一貫校に校長補佐として勤め始めました。職員室では中高の先生方と机を並べています。LHRの時間を使って心理学を取り入れた学習法講座を始め、生徒とのコミュニケーションもだいぶ深まってきました。自ら願った職に喜びを感じながら、現場の先生方と一緒に授業について考え、生徒の成長に向き合っていきたいと思っているところです。教科も、学年も超えて自分の授業に活かせる点を見つけられるか教師個人ではなく学校全体での授業改善へ『2019年改訂 速解 新指導要録と「資質・能力」を育む評価』(ぎょうせい)では「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」の内容に基づき、新しい学習評価の方向性や各観点の評価ポイントなどが解説されている。「生徒にこうなってほしい」から創る 明日の授業授業でしかできないことをしているか 評価は何のためなのか332019 DEC. Vol.430

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