キャリアガイダンスVol.430
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授業をつくるのは個々の先生ですが、授業改善に向けて他者の視点を取り入れるには組織としての取組も必要です。学校全体での授業づくりについて、本年9月に開催された中央教育審議会の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第3回)」で自校の取組について発表された、若狭高校の中森一郎校長にお話を伺いました。 私はこの4月に若狭高校に着任した新米の校長です。始業式の式辞で、自分自身の経験を基に「本気で授業を大切にする」というメッセージを全生徒と全教員に伝えました。 その経験とは、私が本校で国語科教員を務めていた頃、担任をしていた生徒が面談で話してくれたことです。今も当時も本校は部活動が盛んで、9割以上の生徒が部活動に励んでいます。その生徒は運動部に所属し電車通学をしていたため、毎日帰宅が遅く家庭学習をする時間がほとんど取れていませんでした。 「だから僕にとって、毎日の1時間1時間の授業がすべてです。僕は50分の授業の間、先生の話される内容を一言も聞き漏らさないよう心掛けています。そして、その授業の学習内容を完全に理解し、わからないことが一つもないようにしています。もしわからないことがあれば、その場ですぐ先生に質問して理解しています。僕にとっては授業でわからないことが出てくるということが何より恐ろしいことなんです」 と、その生徒は言ったのです。そんな気持ちで授業を受けているとは当時の私は思ってもみなかったので、背取材・文/長島佳子 撮影/古川智伯「授業を完全に理解したい」教員観を変えた生徒の言葉一人ひとりの先生の授業が生徒、クラス、学校をつくっていく福井県立若狭高校 校長中森一郎なかもり・いちろう●1985年、美方高校に国語科教員として初任。以後、若狭高校、若狭東高校を経て、2013年若狭高校定時制教頭、2016年福井県教育委員会、2019年より現職。若狭東高校時代、本文中の授業実践や、地域の高校と連携し、学校横断の小論文講座を開催したことにより、県教委より「授業名人」に任命された。現在は校長として「本気で授業を大切にする」というメッセージを学校内外に発信している。342019 DEC. Vol.430

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