キャリアガイダンスVol.430
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ことです。私は国語科教員時代、決して学力が高くない生徒たちに主体的に自ら学ぶ力を付けたくて、文章を読んだら400字程度で自分の意見を書き、それをグループで共有することを毎時間徹底してやっていました。国語を苦手とする生徒たちが食いつくように教材選びにもこだわって。大事なのは、一人ひとりの読み取り方や表現を否定しないこと。個々の主張を最大限尊重すること。自分たちのことを評価してもらえるということが伝わると、生徒は授業を受けたくなるのです。 生徒が授業中に寝るのは面白くないからで、それは教員も辛いものです。生徒たちの成長を考え、生徒たちが夢中になって引き込まれて、脳をフル回転させるような問いづくりが大切なのです。「授業が面白かった」と言われるのも嬉しいですが、「あー、今日は頭使ったな、クタクタや」というのも嬉しいものです。夢中になって考えたことを仲間と共有し、学び合い、互いの良さを認め合うことで、クラスや学校という集団づくりにもつながっていきます。そのために教室があるのです。 生徒は1日の多くの時間を学校で授業を受けて過ごしています。生徒一人ひとりの未来を拓いていくのも、クラスづくりも、学校づくりも授業からすべてが始まります。授業がつまらないと生徒の学びへの意欲も失われていく。それが広がると信頼関係が崩れ学級崩壊や、学校崩壊につながります。だから授業が一番大事なのです。 本気で授業を大切にして、未来の日本を築いていく生徒たちを一緒に育てていきましょう。ただいていますが、地域を巻き込んだ取組をするにあたって、先生個人の力量に頼るのではなくSSH研究部を中心に組織的に役割分担をして進めてきました。また、共通理解する時間を授業時間内に設けてきたことで、先生同士が「コミュニティ」となり、管理職や核となる先生が異動したとしても持続可能になるような組織づくりが徐々にできあがってきたのだと思います。 生徒にとってどんな授業が良い授業かは、教科や教員それぞれが考える授業が面白いと、生徒は脳をフル回転させて夢中で取り組む教室とは、生徒が学び合い互いの良さを認め合う場所1894年創立。全日制4学科(普通科・国際探究科・理数探究科・海洋科学科)、定時制普通科を擁する総合高校。2019年に開催されたG20サミット教育関連イベント「21世紀の教育政策~Society5.0時代における人材育成~」で生徒が探究学習について発表を行い探究への取組が注目されるほか、アメリカ、台湾、シンガポール、フィリピンの高校生とマイクロプラスチックについて共同研究を行うなど多様な生徒が多様に活躍する教育場面を設けている。現在は、2期目のSSH、OECDイノベーションスクールネットワーク2.0(OECD-ISN2.0)、教科等の本質的な学びを踏まえた主体的・対話的で深い学びの視点からの学習・指導方法の改善の推進研究(AL研究)の、3つのカリキュラム研究開発プロジェクトを同時進行中。若狭高校 (福井・県立)時間があれば授業を見学している中森校長。取材当日も公開授業だけでなく、いくつかの教室を覗いて生徒と先生の様子を知ろうとしていた。「生徒にこうなってほしい」から創る 明日の授業一人ひとりの先生の授業が生徒、クラス、学校をつくっていく372019 DEC. Vol.430

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