キャリアガイダンスVol.430
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ここ数年の傾向として、地元志向が強かった進学先が、全国へと広がった。「アドミッション・ポリシー研究をはじめとした取組により、視野が広がり選択肢が増えたのではないか」と花尻先生は推測する。また、「アドミッション・ポリシー研究により志望大学への思いが強くなり、それが最後まで粘り強く努力する力につながっている。そしてそれは、うちの生徒の気質にも合っているように感じる」とも言う。 現在、同校では、ルーブリックを使った達成度評価に取り組もうとしている。同校が習得目標として掲げる8つの力(認知力・分析力・思考力・表現力・共感力・探究力・行動力・創造力)それぞれの4つの段階(S・A・B・C)を示したルーブリック(図3)を作成し、学校全体で共有。「CからBに上げること(=受動から能動への態度変容)に特に注力したい」と花尻先生は言い、その背景についてこう語る。「うちには高校受験を暗記型学習で乗り切り、それが成功体験になっている生徒が少なくない。しかし、暗記型の学びで止まってしまうと、ずっとC段階のまま。それではダメだということに気づき、次の段階にステップアップしていけるよう支援する必要がある」。今後は、生徒一人ひとりの成長につながるようなルーブリックの活用法を検討し、実際の取組につなげていく予定だ。生徒一人ひとりの成長を促すルーブリックの活用法を検討作るという意図もある」と花尻先生は言う。 2年次のゴールは、自分の志望校のアドミッション・ポリシーを深く理解すること。昨年度までは11月に行っていたが、より早い段階で深く理解する必要があると、今年度から8月に前倒した。進路の方向性によりグループを分け、各自が志望する大学のアドミッション・ポリシーを持ち寄り、その由来や背景を考え、考えたことを話し合って理解を深めていく。さらに、アドミッション・ポリシーに共感できるか、大学が求める人物像に近づくためには今後何が(花尻先生)。具体的には、「自分にとって大切なこと、これから大切にしていきたいこと」を「行動原理シート」に基づき探ったうえで、「アドミッション・ポリシーとは何か、なぜ重要か、どう読み解いていくのか」をワーク形式で進めていく。例えば、大学名を伏せた状態でサンプルとなる3大学のアドミッション・ポリシーを読み、印象に残った言葉を拾い出し、その理由を考えていくというワークなどがある。また、一人で考えるのではなくグループで話し合うシーンも多くあり、「それぞれの志望校を目指してみんなでがんばる、という集団の雰囲気をできるかと、自分との接点に落とし込んでいき、最後はワーク全体を振り返って「何を知り、感じ、考え、これからの高校生活で何をしていこうと思うか」を文章化するところまでやり切る。生徒はこのワークシートを画像としてeポートフォリオに保存しており、花尻先生は「将来的には、これからますます重要になる志望理由書などにもつなげていきたい」と話す。 「想実一致」で希望する進路を実現するために、1、2年生の時期を「想(なりたい自己)」を広げ・深めること、「実(なれる自己)」を伸ばし・強める時期と位置付け、生徒の可能性を信じた進路指導を行ってきた同校。内発的動機に基づいた生徒の主体的な進路選択が、大学入学後のミスマッチを回避し、学び続ける生徒を育てている。図3 教育の目標として掲げる8つの力の達成評価表(ルーブリック)※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.430)ツール1「アドミッション・ポリシー研究」のワークシート 【1年生(抜粋)】1年生のワークは、1.アドミッション・ポリシーって何?、2.アドミッション・ポリシーを知る、3.人物像を具体化する、4.大学の夢を考える、5.整理する、6.夢に共感する(グループワーク)、7.自らを省みる…という流れで構成される。【2年生(抜粋)】2年生のワークでは、自分の志望校のアドミッション・ポリシーを知り、求める人物像を具体化したのち、そのアドミッション・ポリシーの由来を考え、共感し、自らを省みる…という流れで、志望校と自分との接点にフォーカスしていく。412019 DEC. Vol.430
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