キャリアガイダンスVol.430
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522019 DEC. Vol.430※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.430)年で志望校のアドミッション・ポリシーを読み解き志望理由書を書いてみるという学習を始めた。各大学のアドミッション・ポリシーには現代社会で求められる資質・能力が反映されている。「創造性」や「課題解決力」といった抽象的な言葉が目立つが、それはどういう意味なのか、自己の経験を踏まえた言葉に置き換えて書くことで自分事化を図る。 「受験対策ではなく、高校生活を送るうえで、将来求められる力を意識してもらうことがねらい。やってみたいと思ったことにチャレンジする意味付けや後押しにつながればと考えています」(後田先生) さらに、自由な時間のなかで自らPDCAを回してステップアップできるよう、振り返りツールの活用も進めている。生徒の声を取り入れてオリジナル手帳を開発し、日々の計画設計や振り返りを推進。そして、学期ごとに2種類の振り返りに取り組む。一つは、目指す生徒像に基づくルーブリックで、授業や家庭学習など5つの場面と、キャリア教育のキーワードである「主体性・コラボレーション・チャレンジ」の3つの観点について、4段階で自己評価する(図3)。もう一つが、自分自身の変化と成長を見つめるためのポートフォリオで、各学校行事を振り返って気づきや気持ちを記入し、保護者や担任などの他者評価ももらう。 「勉強や部活動に忙しいなか、プラスアルファの活動に主体的に取り組んでいくためには、こうしたツールも活用し自ら時間やパワーをやりくりしていくことが大切です」題も精選を図った。 「全員一律に行うものは減らす一方で、希望者を対象とする講座や課題は充実させ、自ら望めば高水準の学びができるようにしています」(後田先生) 増えた自由時間を生徒が主体的に活用できるよう、「主体性・コラボレーション・チャレンジ」につながる学びは拡充した。その代表的なものが、前述のグローバル講演会、総合的な探究の時間で展開する「課題研究」(探究)、早朝や課外授業の時間で志望理由書や小論文にもつながる複眼力や表現力の育成を目指す「CDA学習」(Comprehension:理解・Discovery:発見・Ambition:大志)などだ。例えばCDA学習では、1・2学(後田先生) こうした取組の見直しは、教員の負担の軽減にもつながっているという。 「削減したのは教員主導の取組、拡充したのは生徒主導の取組です。例えば、新たに始めたグローバル講演会も、当日は講師対応から運営まですべて生徒が行うので、教員は忙しくありません。総じて教員の負担は減っているのではないでしょうか」(後田先生) 昨年度からは、校内外で活発化する生徒の活動状況について教員間で共有しキャリア支援していこうと、1・2学年の各学年団で「キャリア検討会」を始めた。従来から志望校決定のために実施している「進路検討会」とは、明確に趣旨が異なるものだ。この場で偏差値や成績の話は一切NG。生徒一人ひとりについて、志望校、校内外における活動履歴、ルーブリックによる自己評価の推移、資質・能力ベースのアセスメント評価の推移などを基に、どのような将来を目指し、どんな課題意識をもって校内外で活動しているのかを共有。さらに活動を充実させるために何が必要かを話し合う。そして、その生徒の問題意識ややりたいことの方向性に合う機会を紹介する〝場つなぎ〞や、近い活動をしている生徒同士をつなげる〝人つなぎ〞などの働きかけをしている。 「テスト結果や授業中の姿は、生徒の一面にすぎません。キャリア検討会を行うにあたっては、日頃のコミュニケーションや事前の面談などから、生徒が何を考えてどんな活動をしているかを掘り起こす必要があります。これを始めたことで、われわれは普段から生徒を多面的に見ようという意識が強くなったと感じます」(後田先生) こうした改革による生徒の成長を象徴する動きがあった。改革を推進してきた後田先生、3学年主任・高比良周一先生、生徒会主任・砂川一真先生らが、その第一段階のゴールとして思い描いていたのは、定型化されたプログラムが毎年繰り返されていた文化祭と体育大会が、生徒の手で変わることだ。その大きな岩がようやく動き始めたのだという。 「学校とは何かを与えてもらうだけの場ではなく、生徒自身で価値を作る場であり、学校行事も自分たちで意味づけするもの。さまざまな取組を通して伝えてきたメッセージが生徒に根付いたとき、この2大行事のやり方に、自ら疑問をもち立ち上がるはずだと考えました」(高比良先生) 生徒会は昨年度、文化祭の意味を改めて話し合い、開催期間を2日間に増やして、多彩な活動や学びを生徒同士で共有できるようにすることを校長に提案し、実現させた。さらに今年度は、「来場者も楽しく学べる」というコンセプトを掲げてクラス展示を工夫し、地元飲食店と特産品のジャガイモを使った商品を提供するという新たな試みも行った。図3 各学期末に生徒が取り組む自己評価表■ 文化祭地元飲食店と協働でブースを出店。「飲食店を呼ぶ意味は何か」「訪れた人は何を得ることができるのか」などを議論し、地元産品であるじゃがいもの認知度を上げることを目的として取り組んだ。生徒が二大行事の改善案を学校に提案生徒を多面的に見て支援する偏差値抜きの「キャリア検討会」
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