キャリアガイダンスVol.430_別冊
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然に行っているが、日本では教えられていない発音のコツを徹底的に身につける。 例えば、「It’s not di cult at all.」という英文を発話するとしよう。日本の英語教育では、多くの場合「いっつ のっと でぃふぃかると あっと おーる」と発音してきた。しかし、実際のネイティブの発音では「いつ なっ でぃふぃくぅっ あろ゛ぁうー」となる。これに強弱の記号をつけたのが上の図だ。これでは前者の発音をイメージしている日本人にはまったく聞き取れないし、ネイティブとの会話が通じないのも無理はない。 つまり、日本人の多くが英語のリスニングができない理由は、自分がイメージしている英語の発音と、実際のネイティブの発音との間にあまりに大きな落差があるからなのである。 では、どうしたらいいのか。 ネイティブの発音を徹底的にマスターしていくのである。それがリチャード川口先生の開発した独自のメソッドのポイントでもある。 このプログラムでは図1のように英語の発音を具体的に分析する。まず、日本語にはない母音や日本人が苦手な子音を発音できるようにする。そして、音のつなぎ方や短縮の仕方などの基本をマスターし、さらに英語のリズムを「ノリ」として理論的に解明して身につけるのである。 こうして、英語の発音ができるようになるとネイティブスピーカーにちゃんと伝わるし、相手の言っていることもわかるようになる。そうすれば英語が伝わる楽しさを感じることができるようになるのである。 そして次が②英語脳である。このメソッドでは、英語でアウトプットすることから始まる。日本では高校までの英語教育の結果として「間違っていたらどうしよう」とアウトプットをためらうカラを作ってしまう。だからこそ、このメソッドでは「自分だったらこう話す」というところに自分のカラを壊して一歩踏み出すのである。つまり、「相手に何を伝えたいのか」を考えれば、英語表現は模範解答だけでなく何通りもあるはずだ。そして、すでに学生は自分流ならアウトプットできる能力を持っていることを前提にして、アウトプットした表現をブラッシュアップして伸びしろを伸ばす、という考え方がベースとなっている。 ここでもう一つ大切なポイントは、「唯一の模範解答でなくてもいい」ということを積極的なプラス面として位置づけていることだ。つまり、英語の表現には「発話する主体」すなわち、学生の個性が表現されているのが自然なのだと位置づけると、学生の数だけキャラクターを持った表現があっていいことになるし、他の学生の表現からも学べることが多い。つまり、グループで学ぶことが、「マンツーマンで学ぶのはコストがかかるから」という消極的な面よりも、もっと積極的な意義を持つということである。そうなると教室内でのリアル授業では、先生の役割は正しい表現を一方的に学生に伝えることではなく、図2のメソッドを使い、学生たちの英語の発話をつなげるファシリテーターへと変化していくのである。 もちろん、個々の学生の個性を持った英語表現でいいと言っても、どんな表現でも構わないというわけではない。当然、実際の英語として通用する範囲内における表現の一定の幅の中で、という制限はある。そして、メソッド②英語脳でアウトプットすることへの戸惑いを乗り越えたら、次はメソッド③で表現の幅を身につけることが大切になる。ここでは、自分がアウトプットしたものが、数ある英語表現のうちでどのあたりに位置づけられるかを考える。 図3は、その時に用いる「表現レーダー」である。このレーダーは、縦軸を「強い―弱い」とし、横軸を「フォーマル―カジュアル」としているが、例えば「知らない」の英語表現「I don’t know.」をこのレーダーのある部分に置いてみる。そして他の表現「I’m not sure.」「I have no idea.」「That’s news to 発音をマスターするための全体像図1ぃっなっでいふぃくぅっ ぁろ゛ぁぅリフレーズ表現したい内容が英語で出てこなかったら、日本語でもよいので、別の簡単な表現に言い換えてしまえば良いのである。鍵は知識よりも柔軟さ。英語順思考英語は日本語と語順が真逆なので、実は日本語→英語はハードルが高い。英語の語順を解剖し、直接英語で考える仕組みを手に入れる。飛び道具“Beats me.”(わからない) “Break a leg.” (頑張れ) などは、塊の表現。このような小慣れた飛び道具もタイミングよく使えるように吸収していく。未完スタート主語が動詞を決め、動詞が次に来るものを決める「引力」にのっとり、主語が決まれば未完状態でも声に出し、考えながら喋れる状態を作る。世界語思考英語は世界中の人が共通語として使う「世界語」。そもそも完璧であることよりも「伝われば100点」という前提を共有する。英語脳「カラ」を壊すためのスイッチ図2これらのテクニックを駆使して、学生達の「アウトプット力」を最大限に引き出していくリズム発音技日本語にはない音6Vol.430 別冊付録
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