キャリアガイダンスVol.431
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「なぜ開く?」「どう開く?」高校が地域社会と連携・協働する意義~ 座談会 ~ ファシリテーター島根大学教職大学院 准教授中村怜詞さん高校の視点から東京都立日野台高校 指導教諭佐々木 宏さん教育行政の視点から長野県教育委員会事務局 高校改革推進参与内堀繁利さん大学/地域の視点から東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科長岡崎エミさん― 本日、ファシリテーターを務めさせていただきます中村です。高校で世界史を教えていましたが、離島への異動がきっかけで、地域と共に生徒を育む意義を知り、今は島根大学教職大学院で地域連携型教育などについて研究しています。皆さんも地域の教育力に期待している点は同じだと思います。自己紹介を兼ね、そうした考えに至った経緯をお聞かせください。佐々木私は映画の仕事や予備校勤務などを経て29歳で都立高校の教員になりました。担当する国語の授業では、生徒が自身の解釈を示し、対話を通じて互いに批評できる力が育つように心掛けてきました。以前、参加していた学外のアクティブ・ラーニングの交流会では教員以外の方々から多くのアイデアを頂いたこともあり、生徒にとっても多様な大人に出会うことで学びが広がると思っています。そこでここ数年来、学外からいろんな方を招いて授業をしてもらったり、生徒が外へ出て学んだりする機会を少しずつつくってきました。例えば地元の青年会議所とコラボし、高校生が見つけた日野の魅力を発信するCMをつくる授業などです。さらに今年度は1・2年生有志と、日野市などと連携して「持続可能な日野の未来をつくる研究チーム」を立ち上げました。内堀私は高校現場と行政の行き来が多く、上田高校の校長を最後に退職した今は、4度目の県教委事務局で高校改革推進参与として働いています。地域連携といえば、20年近く前、改訂間もない学習指導要領を現場につなぐ業務をしていたとき、そのベースとなった平成8年の中教審第一次答申に「開かれた学校」という文言があったことを覚えています。「連携・協力」という言葉を用いて、学校は、家庭や地域社会と共に子どもたちを育てていく必要があると書かれていました。画期的な答申だと思いながら、授業公開や学校評議員制度、学校自己評価などの仕事に携わり、その後も一貫して地域と連携・協働した教育を進めこれからの社会を生きていく生徒が必要な資質・能力を共に描き、育むうえで、地域社会が果たす役割とは何か。高校、教育行政、大学/地域と、立場の異なる3人にお集まりいただき、高校が地域社会と連携・協働していくことの意義や、具体的な一歩を踏み出す際のヒントについて語り合っていただきました。取材・まとめ/堀水潤一 撮影/平山 諭112020 FEB. Vol.431
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