キャリアガイダンスVol.431
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員として連続しているのに、学校という枠組みの中でだけ、社会と乖離した別の価値観と尺度で評価するあり方はもっと違うだろうと思っています。佐々木学校ってどうしても、勉強やスポーツができるかで評価をされがち。教室では、人との微妙な距離感のなかで生き、仮面を被っているような生徒も少なくない。外で活動しているときに見せる表情はこれとは対照的です。内堀これからの学校のあり方として、まずは個々の子どもたちを起点として学びをつくることが大事だと思います。そして、あらかじめ大人が決めた尺度に生徒が合わせるのではなく、子どもたち自身が、自分の人生の主体として、自分の中にそれぞれの価値基準・評価基準をつくり出すことができればいいなと思っています。そのためには、行動や結果を否定するのではなく、失敗しても、むしろチャレンジしたことを褒める文化を学校の中でつくる必要があると思っています。岡崎Society5.0を目の前に、「今後どう生きていくか」「今、何をすべき文化に精通したコーディネーターに入ってもらい、形を整えてもらうと少し楽になるはずです。そのうえで、チームビルディングを行い、仕組みを整えながら、意識と行動を変えていくことが必要だと思います。― そうしたプロセスを経て高校が社会に開かれたとして、生徒にどのような変化が生じるでしょうか?佐々木これからの社会を生きる生徒に必要なのは、既存のシステムへの適応力ではなく、新しい社会をつくろうとするマインドだったり、自分なりの幸せの形を見つける力だと思います。一人ひとり描く社会も人生も違うし、社会に解があるわけでもない。偶然性にも委ねられる。そんななかで学校の先生や友達じゃない人と出会い、一緒に何かに取り組むなかで、自分の良さや、やりたいこと、足りない力に気づくんじゃないでしょうか。内堀誰しも自分の幸せを考えているか」を考えなくてはいけないのは地域の大人も同じ。だからこそ、未来の主人公である高校生と対話することは意味があるのです。佐々木この先、どんな社会をつくっていくか。そのために自分はどう生き、どういう力をつけるべきか。そうしたことを、生徒と大人が対等の関係で考えるって、とてもワクワクすることのはず。生徒の可能性をぐっと広げるためにも、そうした開かれた学びの場をたくさん用意していきたいですね。― 本日は、ありがとうございました。と思いがちですが、意外とそうでもなくて、高校生くらいの年代はまだ人生の当事者という感覚すら希薄な生徒もいます。そのうえで、大切なのは、自分だけではなく、他者の幸せをどう捉えるかということ。地域社会とのつながりを通じて、自分を見つめると同時に、社会貢献意識などが生まれることを期待したいですね。岡崎同感です。自分はどう生きていくかというとき、個人の幸福も大切だけれど、環境問題など、皆で取り組まないと解決しないことに、自分も当事者としてつながっていることに気づくことが大切だと思います。その点、地域との協働は、「競争」よりも「共存・共栄」のほうが大切であることを実感するいい機会。そのために今、どういう力を身につける必要があるかを考えることにもつながると思います。内堀子どもたちは学校にいる時は生徒という立場でも、実は社会の一員です。子どもたちが学校の中でだけ学ぶこと自体、そもそも不自然なことだと思いますし、一人の人間、社会の一リアルな場だからこそ浮き彫りになる学校での学びの意義や自己のあり方社会に開くことで訪れる子どもたちの未来とは地域を巻き込み社会とつながる学びへ高校が地域社会と連携・協働する意義

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