キャリアガイダンスVol.431
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まとめ/堀水潤一 撮影/舘野季子金子朝子昭和女子大学附属昭和中学校・高校 校長かねこ・ともこ1947年生まれ。小学校卒業後、父親の勧めで昭和女子大学附属昭和中学校に入学。読書指導で出合った壺井 栄『二十四の瞳』に感銘を受け教師に憧れる。水泳と陸上に没頭するも高校在学時に重度の腹膜炎を患い13度の手術を。体育教師を断念し、英語教師を志す。71年昭和女子大学英米文学科卒業後、英語教諭として附属昭和中学校・高校で教鞭をとる。在職中、サンフランシスコ州立大学で英語教育学修士を取得。80年昭和女子大学文学部助教授。92年テンプル大学日本キャンパスで博士号を取得し、昭和女子大学教授に。英米文学科科長、文学部学部長、副学長などを経て、2016年4月、坂東眞理子前学長(現 総長)の任期満了に伴い、第9代昭和女子大学学長に就任。卒業生の学長就任は同大学初。翌17年に附属昭和中学・高校校長を兼務。 母校であり長年の勤務先でもある昭和女子大学の学長に私が就任したのは2016年のこと。翌年には、やはり母校である附属中学校・高校の校長を兼務することになりました。異例ともいえる人事であり、重責ではありましたが、私のような立場だからこそ、学園全体を見渡した密接な連携や、新しい挑戦もできるはず。そう考え、お引き受けしました。 かつてを思うと、今の先生方は本当に大変だと思います。時間に追われ、やるべきことも多い。そうした実態も鑑み、生徒の成長につながることのみを念頭に、業務の簡略化を目指しました。また、ICTの積極活用を進める一方、ベテランの先生方には、経験や知恵を若い先生方に伝えてほしいと話しています。それぞれの得意を活かすことが、組織として最大の力を生み出す近道だと思うからです。 リーダーシップの形はさまざまですが、私のスタンスは、皆が自発的に仕事を進められるよう、サポート役、調整役に徹すること。できる限り現場に寄り添い、苦労も喜びも分かちあう。そのため今は、三人の教頭と連絡を密にして、校長室と学長室を行き来しています。 教育面では、大学と歩調を合わせ、これからの社会で輝く女性リーダーの育成のため、グローバル教育とキャリア教育を推進しています。その点、こども園から大学院まで揃ううえ、イギリスの義務教育課程の学校「ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ」まである、多様性にあふれたキャンパスは理想的な環境といえます。私の中高時代同様、生徒たちはこども園のボランティアなどを通じて、さまざまな年代の人たちと交流します。昨年9月には、テンプル大学日本キャンパスが敷地内に移転しました。今後は、テンプル大学も含めて高大連携プログラムをより充実させていきたいと思います。 また、本校には中1から高3までの異学年で編成される朋友班というグループがあり、毎日、校内美化や交流を行うという伝統があります。上級生にとっては責任感が芽生え、下級生にとってはロールモデルが身近にいるわけです。 2016年からは新しいカリキュラムがスタートしました。その一つ、「グローバル留学コース」の1期生は現在高1となり、10カ月間のカナダ留学を終えようとしています。本校教員の付き添いは、最初の1カ月と夏休み期間のみ。生徒の自立心やチャレンジ精神を高めるためです。私は校長就任以降、学校目標に必ずチャレンジという文言を入れています。「チャレンジ。失敗してもまたチャレンジ」。たとえうまくいかなくても粘り強く再挑戦してほしいと心から願っています。本校が学外のコンテストや留学など「他流試合」を奨励しているのもそのため。チャレンジを続けるなかで生徒が成長し、それを見守る先生方も成長する。そうした姿を見ることが私にとっての喜びです。調整役、サポート役となり各自が自発的に働ける環境をつくるこども園から大学院まで揃うキャンパスは多様性に満ちている1920年創立。本科、グローバル留学、スーパーサイエンスの3コース。グローバル教育に力を入れ、世界10カ国に提携校・協力校をもつ。中2生は学園所有の昭和ボストンを拠点に12日間の海外研修に全員が参加。高校生は選択制研修旅行や英国短期留学などで体験学習や探究学習を行う。中高6年の教育課程を5年で修了し6年目から昭和女子大学で学ぶ五修生制度も。昭和女子大学附属昭和中学校・高校(東京・私立)多様性あふれるキャンパスでグローバル教育とキャリア教育を推進。失敗しても再挑戦できる女性を育てる352020 FEB. Vol.431

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