キャリアガイダンスVol.431
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■ 札幌英藍高校(北海道・道立)まずは画家の神田日勝の自画像を鑑賞。その後、メジャーリーガーの大谷翔平選手が高校生の時に書いたマンダラートの例も参考にして、「未来の自分」のマンダラートを作成。開業してみたいお店のイメージを「経営理念」「事業の内容」「顧客ターゲット」「デザインで工夫すること」などとまずは言葉に落とし込み、それを踏まえてデザイン画を作成。左は、「大切なものは何か」「その大切なものを『こと』『もの』で表すなら」などを考える砂絵制作の構想用シート。右は、大切なものを題材に私小説を書くための構想用シート。中、水彩画の下絵を描いた段階で、グループでお互いの作品を見せ合い、他者の意見を聴いて自分の考えや表現を見直すというワークも行った。 2年生の科目「美術Ⅱ」の授業で、生徒が向き合うテーマは〝社会〞だ。 造形の単元では、箱の中に立体の作品を表現するBOX ARTに、「店舗のデザイン」というテーマで取り組んだ。 洋服屋でも飲食店でもライブハウスでもいい。自分のお店を開業するならどんな店舗にするか。「銀行から開業資金を借りるために事業計画書から作成しよう」という設定で、生徒がお店の経営理念や顧客ターゲット、サービスを考えるところからスタート。その事業計画書を踏まえて、店舗のデザイン画を描き、次いで箱の中の立体いく。次いでその状態をどんな形で表現するか考え、作品制作へ。 完成すると、八重樫先生より「この作品が立派な彫刻としてどこかに飾られることになったら、どんなタイトルと説明をつける?」と新たなお題が。生徒は自らの作品と再び向き合った。最初の構想を言葉にした生徒もいれば、制作中になかなか思い通りの形にならない石と格闘し、自然にできた形から感じ取った自分の一面を言葉にした生徒もいたという。 絵画の単元では、「未来を見つめる自分」というテーマで油絵の自画像にチャレンジ。構想段階ではマンダラート(左の画像参照)を使い、生徒が自分の未来のイメージを広げた。そのイメージを背景に入れて自画像を描く、という寸法だ。制作途作品を仕上げていった。 振り返りでは、「その店舗では、お客さまとどんなやり取りがされる?」というお題で、各自がシナリオづくりに挑戦。自分の創作したお店が、社会の中でどう受け止められそうかを改めて考えた。 3年生の科目「色彩に親しむ」の授業では、他教科と連携した創作も行った。まずは「高校3年間で大事にしてきたこと」あるいは「この3年で大事だと気づいたこと」を砂絵で表現。その後、制作した砂絵を挿絵とする「私小説を書く」ことも、振り返りの一環で行ったのだ。 起承転結の運び方など、私小説を書くのをサポートするためのワークシートは、国語科の山崎圭志先生に作成をお願いしたという(次ページコラムも参照)。 「今後は各教科の学びを実社会の課題解決にも生かしていく横断的教育、STEAM教育にも取り組めたらと思っています。サイエンスやテクノロジーや歴史や文学。いろいろな分野を、美術の視点を通して整えたり捉え直すと、また新たなものを生み出したり、理解を深めたりすることができると思うんですよね」 確かに、生徒は今までの授業でも「こころ」「未来」「店舗」などを美術作品で表現するなかで気づきを得ていたようだ。「社会との関わりを意識しながら、そうした美術や芸術ならではの感性や想像力も伸ばしていきたいと思っています」他教科と連携した授業で美術の視点を多分野に生かす札幌市北区に初めて設置された全日制普通科単位制高校。札幌拓北高校と札幌篠路高校が再編統合し、創立された。校訓は「立志錬磨・自主自律・右文左武」。目指す学校像は「社会人基礎力を育み第一志望を実現する文武両道の単位制高校」。「AIには まねのできない、英藍生に」というスローガンも掲げ、予測不能の未来社会でもたくましく人生を切り拓いていくことができるような人財の育成を目指している。普通科/2013年創立生徒数(2019年度) 955人(男子442人・女子513人)進路状況(2018年度)大学139人・短大35人・専門学校各種学校106人・就職17人・その他19人〒002-8053 札幌市北区篠路町篠路372番地67 011-771-2004 http://www.eiai.hokkaido-c.ed.jp■ 美術Ⅰ(1年生)『未来を見つめる自分』のワークシート■ 美術Ⅱ(2年生)BOX ART・店舗のデザインのワークシート■ 色彩に親しむ(3年生)『私の大切なもの』のワークシート572020 FEB. Vol.431

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