キャリアガイダンスVol.431
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「なぜ勉強しなければいけないのか」について、保護者と話し合ったことがある高校生は、いったいどのくらいいるのでしょうか? 最新の調査※では2割に満たない、そんな結果が浮き彫りになりました。一方で、私たちは社会で働く経験を積んでいくなかで「もっと勉強しておけば良かった」と省みたことが、幾度となくあると思います。直面する状況を乗り越えるために、時に我武者羅に、時に楽しみながら、実社会の文脈の中で私たちは学んでいます。 今、全国各地の学校で自ら問いをもって学ぶ探究学習が意欲的に取り組まれています。しかしながら、地域の課題を見つけるために生徒を送り出したり、地域とつながることが目的化したりするケースもなかには見受けられます。「社会に開かれた教育課程」と叫ばれている今、なぜ、何のために、学びを社会に開く必要があるのでしょうか? 新学習指導要領の前文に「どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要」と謳われています。変化の激しさが増す実社会と教室との温度差は、私たちが感じている以上に拡がっているのかもしれません。加えて、学年が進むにつれて徐々に社会から切り離されてきた学びに戸惑う生徒たちも。多様な価値観の人々と接し、社会と有機的につながる「リアルな学び」でこそ、一人ひとりの生徒が学ぶ理由や楽しさを、より自分ごと化できるのではないでしょうか。「学校は地域に浮かぶ船」という言葉があります。地域とのつながりとは、人とのつながり。学校と地域社会が目的を共有し、各々の役割に自覚的に取り組んでいくことで、未来社会を担う生徒たちの学びの可能性は拡がっていくのだと思います。皆さんの学校では、学びを社会に開いていますか?山下真司(本誌 編集長)地域を巻き込み社会とつながる学びへ※「高校生と保護者の進路に関する意識調査」  リクルート進学総研サイトhttp://souken.shingakunet.com/research/でご覧いただけます。62020 FEB. Vol.431

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