キャリアガイダンスVol.431
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【学長プロフィール】たにおか・いちろう●1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。南カリフォルニア大学行政管理学部大学院修士課程修了。同大学社会学部大学院博士課程修了。Ph.D.(社会学)。97年より現職。2005年より学校法人谷岡学園理事長。専門はギャンブル社会学、社会調査方法論、犯罪学。【大学プロフィール】1949年大阪城東大学開学。52年大阪商業大学に改称。経済学部(経済学科)、総合経営学部(経営学科、商学科)、公共学部(公共学科)の3学部4学科。私学にとって建学の理念とは、生まれた理由であるとともに、今、存在し、将来も続く理由̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/大江 光太郎大阪商業大学学長谷岡一郎⦆「世に役立つ人物の養成」を建学の理念として誕生し、今年度70周年を迎えた本学は、これからのリーダーが有すべき資質・能力として「思いやりと礼節」「基礎的実学」「柔軟な思考力」「楽しい生き方」という4つの柱を掲げ、育成に努めてきました。このうち「楽しい生き方」とは、人の幸せを実現するには、自分自身が幸せでなければいけないという考え。困難や苦しみをプラスに変え、楽しみに変える精神を培ってほしいのです。 正解が一つとは限らない、もしくは正解などない実社会においては、選択を間違っても構いません。それよりも決断することが大切です。私は学生に繰り返し、「やるかやらないか迷ったら、 18年度には、経営学的視点から地域活性化を考える公共学部を設置しました。公的機関であっても経営的な視点が求められるし、営利企業においても公共マインドは必要です。そうしたことをフィールドワークなどを通じて学んでいきます。 こうしたカリキュラムは海外からも注目されています。例えばOBPコースは、起業家教育に力を入れる北京の中央財経大学からの打診を受け、CBP(チャイナ・ビジネス・パイオニア)コースとして「採用」されました。大学の国際化といったとき、受け入れ留学生数や外国語による授業数が指標になる場合が多いですが、優れたカリキュラムを世界に発信していくというのも、私たちが考える国際化です。 東大阪市をはじめ地域との連携も盛んです。17年度から始めた「Early Bird University」は地域住民や社会人を対象とした朝活型のセミナー。学びたい人が自由に学ぶという教育の原点に気づかされます。 私学にとって建学の理念とは、生まれた理由であるとともに、今、存在している理由であり、将来も続く理由です。国や社会の制度がどう変化しようが、真に世に役立つ人物を育てるという使命に変わりはありません。やる方を選びなさい」と伝えています。やって後悔したとしても、得るものの方がはるかに大きいはず。失敗しても、それを乗り越えていつの間にか成功に変えてしまうのが真のリーダーです。 こうしたことを念頭に、本学では自分で考え、挑戦する機会を多く設けてきました。例えばOBP(大阪商業大学ビジネス・パイオニア)コースでは、地域活性化プランを現実に落とし込む過程で、多くの失敗から学びます。2015年度に設置したGET(グローバル・アントレプレナー・トレーニング)コースでは、複数ある海外協定校での1年間の留学が必修ですが、日本人同士で固まらないよう各校最大二人の枠を設けています。612020 FEB. Vol.431

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