キャリアガイダンスVol.431
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リクルートサービスを活用した実践事例【進路】 「古河市に普通科の進学校を」と、地元の要請で51年前に誕生した古河第三高校。当初は東大合格者も輩出したが、進学率が落ち込んだ90年代を経て、05年からの学校改革でV字回復。現在は、毎年40〜50人が国公立大学に合格している。 「生徒の99%は進学希望。一応、進学校と言っていますが、入学時の生徒の点数は決して高くはなく、自学習慣、職業観もなく、具体的な進路も描けていません。そこでまず、課題提出や小テストを最後までやり切らせる徹底した指導で、『成績が上がった』『やればできる』ということを実感させます。学力の向上に加え、職業観を育て、学びたいことを見つけていく動機付けが進路実現の大きな課題。当校では、1年次を自己発見、2年次を自己発展、3年次を自己実現として、進路指導を進めています」と、進路指導部長の塚越哲也先生。 自己発見がテーマの1年次は、スタディサプリの『適性診断』、『未来事典』を活用。 「入学時は進路が描けていない生徒がほとんどなので、7月に『適性診断』を行い、9月の文理分け説明会前までに視野を広げるようにしています。興味分野以外に適性ありと診断されたりすると、生徒は真剣に考え始めるので、面談チャンス! 夏休みから文理分けまでの時期は、面談ラッシュです」と1年主任の木村亜紀子先生。また11月には、仕事について学ぶ『未来事典』とワークシートを活用している。 「文理選択前に多くの仕事を見せても生徒は悩むだけ。選択後の方が、具体的な仕事がイメージしやすいと考え、この時期に行っています。『1年次を振り返って今後の生活を考えてみよう!』と実施した2つのワークシート(未来計画と自己理解)は格好の面談材料になり、2年次へモチベーションをつなげるツールにもなりました」と木村先生。 自己発展がテーマの2年次は、学びたいことを絞り込むと同時に、情報収集力を身に付ける時期。生徒がオープンキャンパスに参加する前にスタディサプリの『分野選びBOOK』を渡し、自分に合う分野を比較研究してもらう。夏休み前には入試情報から納入金なども比較できる『大学詳細比較ワークシート』を渡し、2年次で国公立2校、私立2校の最低4校の比較を宿題にするなどの活用をしている。 「宿題ができてなければ、面談。生徒から『国際分野希望ですが、学部が多すぎて選べない』といった声が出たら、『学校&学部BOOK』で調べてもらったうえでまた面談。自分で情報を集め、悩みながら比較検討している生徒とは、面談のスタートラインが上がり、深い話ができます」と2年の進路担当、須堯侑子先生。 結果が出るまでやり切らせる徹底した教科指導と、ツールを活用して考えさせながら行う手厚い面談の両輪が、生徒の意識を変え、自己実現につながっている。進学希望99%。具体的な進路が描けていない生徒をいかに動機付けしていくか課題サプリのワークシートを活用した手厚い面談を重ね、生徒の意識を変える活用 自己分析 適職発見 学校・学部研究【活用キーワード】創立1969年/普通科(男女)/生徒数673人(男子359人、女子314人)進路状況(2019年3月実績)大学177人、短大6人、専門学校29人、就職6人、その他13人取材・文/丸山佳子自学習慣や職業観のない生徒を、きめ細かい教科&進路指導で主体的に変えていく4月 進路希望調査①5月 進路部長講話6月 生徒意識調査①7月 『適性診断』実施。 結果を受け、希望者面談 進路講演会(保護者) オープンキャンパス参加9月 文理分け説明会(生徒・保護者)10月 進路希望調査② キャリアガイダンス OB・OGを中心に、実際に活躍している20職種の先輩を招き、生徒は3つの職業を選んで話を聞く11月 文理選択 『未来事典CAREER』を活用「ワークシートの『未来計画表』と『自己理解表』がセットになっているのが、いいですね。自分を掘り下げるのは難しいですが、未来につながる種が過去にあるかもしれない! と生徒に伝えて、書かせています」と木村先生。スタディサプリを活用したキャリアプログラム自己発見1年生「大学の詳しい情報を、A3一枚にまとめて比較できるので、とても便利です。主体的に取り組んでいる生徒ほど、ぎっしり書き込んできます」と須堯先生。8月 2泊3日サマーセミナー(勉強会)9月 大学による学部学科説明会10月 進路希望調査②11月 生徒意識調査②4月 進路希望調査①6月 生徒意識調査①7月 『分野選びBOOK』活用 オープンキャンパス参加 『大学詳細比較ワークシート』活用自己発展2年生前列右:進路指導部長塚越哲也先生(英語科)前列左:進路指導副部長江田慶彦先生(数学科)後列右:進路指導部須すぎょう堯侑子先生(英語科)後列左:進路指導部 1年主任木村亜紀子先生(国語科)古こ河が第三高校(茨城・県立)632020 FEB. Vol.431
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