キャリアガイダンスVol.431
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域連携に意欲的に取り組む岡山県立矢掛高校は、正課だけでなく、地域のボランティア活動にも積極的に生徒を参加させている。西村さんは「第一志望だった母の出身私立高校に落ちて仮面浪人くらいの気持ちで入学しました」と言う。それでもこの学校でがんばろうと思ったのは、仲間に恵まれたことに加え、ボランティアの経験が大きかったそう。 最初の中間考査でイマイチな点数を取ってしまった西村さんは「先生にちょっとは良く思われたくて」ボランティア募集に応じた。矢掛町内で開催されたB級グルメイベントの受付だ。東日本大震災が起こった直後で、会場に入る人にスリッパを渡しながら募金も募る。朝から晩までヘトヘトになって、初めて「仕事」と言える経験をしたことには大きな達成感があった。 それからは、矢掛駅前でのイベントや、高齢者施設のボランティアに参加した。「高齢者は怖い、子どもは何考えているかわからないというイメージで苦手だったんですけど、小学生がまたくるね!と言ってくれたり、寝たきりでしんどそうな人が『ありがとう』と言ってくれて」。のめり込み、いつの田空港の国際線ターミナルで接客業務とオフィス業務を兼務する部署で活躍する野原まりなさん。現場での仕事と並行して、会社の改善活動にも入社後1年目から積極的に取り組んでいる。 「グループ会社全体で業務やサービスをより良くするための『改善アワード』があり、同期の仲間と一緒に業務改善案を提案すべく活動しています」 風通しの良い社風もあるが、任意参加の改善活動に自ら参加する主体性は、母校である品川女子学院(以下、品女)で養われたと振り返る。 「品女には『28project』というキャリア教育があり、中高6年間を通して多様な体験をさせてもらいました。さまざまな分野の専門家の方の話を聞いたり、企業を訪れて社会人と触れあうなど、大人と会話したり交渉することへのハードルを徐々に下げてきてもらっていたと思います」 例えば中学1年次には「教科イチ押し見学会」という取組で、大手電機メーカーを訪れて、携帯の待ち受けのアイデアを提案した。また、高校1・2年次には「起業体験プログラム」がある。クラス単位で会社を起業、株式会社として事業計画をたてて商品を企画し、実際に仕入れをして秋の文化祭で販売し売上を計上する。身近な課題の解決策を主体的に探る。高校で “当たり前”だったことが社会で役立っている野原 まりなさん(24歳) 東京都私立 品川女子学院卒ANA成田エアポートサービス(株)旅客サービス部勤務ボランティアに参加し続けたことで何にでも挑戦する姿勢が育まれた西村貴友さん(23歳) 岡山県立矢掛高校卒島根県立大学総合政策学部卒地成【品川女子学院 28プロジェクト】2013年5月号http://souken.shingakunet.com/career_g_jirei/2013/05/jirei0321.html【矢掛高校 やかげ学】2016年10月号http://souken.shingakunet.com/career_g/2016/10/2016_cg414_25.pdf1996年倉敷市生まれ。矢掛高校でボランティア活動に出会って多様な経験の価値に気づき、広くさまざまな事柄に取り組める島根県立大学総合政策学部に進学。進学後は地域活性イベントを開催し、研修でロシアに滞在して以降、海外に興味をもち4年次に休学して世界を旅する。これまでに訪れた国は30か国超。今春より大手メーカー勤務予定。82020 FEB. Vol.431

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