キャリアガイダンスVol.432
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せることは、生徒の挑戦を促すうえでも大事だと感じています」 一方、管理職の千葉先生は、地元の小中学校に働きかけていった。 「小中の教頭が揃う町の教頭会に参加し、小中への連絡事項があれば直接訪ね、職員室でもお話をしました。そのなかで高校側の提案を小中の先生方がどう感じているか把握し、負担感を減らし納得感を上げられるよう、提案の微調整もしていきました」 研究指定校2年目の2018年度には、春に小中高合同の教員研修も実施。(千葉先生)という。 まちづくりをテーマに「地域の人を巻き込む」ことも舘先生たちが進めた。継続が危ぶまれていた町の行事を、生徒が地元の人と一緒に企画運営する活動を始めた。地元で働く人を講師に招き、町の課題を語ってもらった。 「思い切って動けたのは管理職の先生方がその土壌をつくってくれたからです。『まずやってみて駄目だったら改善しよう』と言い続けてくれたんですよ。慣例にとらわれずやってみて、失敗があればやり直す、という姿勢を僕らが見連携して何を目指すか根本から学び合うことで、小中高の距離がさらに縮まった。同年、まちづくりをテーマにした総合的な学習(探究)の時間の12年間のカリキュラムを作成。11月には小中高合同発表会も行った。 小中高の先生がテーマ別に分かれて年3回交流する「町研サークル」も始動する。将来構想委員会のメンバーであり、当時進路部長でもあった吉田修介先生は、この席でキャリア・パスポートのことも話し合ってきた。 「当初は小中高で『キャリア』の捉え方はバラバラでした。その認識を揃えて1本筋を通せば、キャリア・パスポートは、子どもが自分を振り返り、教員が子どもの変化を理解するのにより生かせると思っています」 まちづくりをテーマにした校種間連携には、全員が賛同していたわけではなく、乗り気でないことを表明していた先生もいる。でも舘先生は「全員が同じ意見のほうがおかしくて、異論があるから自分たちの取組を問い直せる」と前向きに捉えたという。 「意見は違っても、協力できるところを探してお願いすると、実はやってくれるんですよ。まちづくりという手法には反対でも、育成したい生徒像は共有できているので」 取組を促進した側である先生の思いも、実は一人ひとり多様だった。 「理科の教員として小中の理科教育にも興味があり、校種間で学習面の連携もしたかったんです。もう一つ、進路の面では、学校目線だけでなく、地域で生きる人の価値観も踏まえて子どもと接したいと思っていました。校種間連携やまちづくりをテーマとした協働は、そうした縦と横のつながりを築くものだと思うのです」(吉田先生) 「本校の先生と生徒がこれだけがんばって挑戦し始めているのだから、この活動を小中学校や地域にも広げたい、というのが管理職の自分の一番のモチベーションでした」(千葉先生) 取組を通して強まった思いもある。 「小中高合同の活動では、児童・生徒が上や下の世代にふれるなかで、先を見通したり、過去を振り返って成長を実感したりします。教員も関わった児童・生徒の先の姿にふれて、これまでの成果や課題を見出せます。加えて、各校種の教員が成長を見取ること自体が、子どもの自己肯定感を高めるようなのです。そういう場面を今後もつくりたいと思いました」(舘先生) 長万部町には東京理科大学のキャンパスもあり、長万部高校は同大学とも連携してきた。今後はまちづくりでも小中高大の連携を図ろうとしているところだ。「学校を常に進化させる」。学校を存続させ、魅力を高めるには、その視点が必要ではないかと千葉先生は思っているという。異論があるから問い直せる思いは多様でも協力できる●小学6年生まちを良くするために色々提案していたので、良いと思いました! 高校生の発表はわかりやすくてすごかったです。●中学2年生小学生の発表を聞いて、新鮮でしっかりと練られていて「なるほど~」と考えさせられました。今、高校生が頑張って今後の長万部のために色々と考えたり、話し合ったりしてる姿を見て、自分も少しでも力になれるよう、高校生の協力をしたいと思いました。●高校1年生小中学生どちらの発表もすごかったです。自分が小中学生のときは、こんなに話せなかったと思います。発表は緊張したけれど、小中学生や地域の人に伝わっているといいなと思いました。今後アクションにうつるので、継続できるアクションにしたいです。●小学校教員小学生・中学生・高校生が集まる中で頑張って発表していたと思います。長万部町の未来のためにずっとみんなが語り合えたら素敵ですね。●中学校教員小学生、高校生どちらもしっかりと考えてきた様子が感じられ、非常に頑張っていました。質問に臨機応変に答えるのは大人でも難しいことですが、特に高校生はよく答えていたと感じました。勉強が苦手でも、うまく話したり対応したりできる子もいました。色んな経験をしてそれぞれが自分の特性に気づいていくきっかけになる場面ですね。小中高合同発表会の感想※先生・生徒の所属・学年などは取材当時のものになります写真左は「小中高合同発表会」。小学生、中学生、高校生それぞれが、まちづくりをテーマに発表し、地域の人も交えてお互いに聴き合うこともしている。写真右は「町研サークル」。小中高の先生が、教育課程、学習、生徒指導、特別支援という4つのテーマに分かれて年3回交流している。未来の学校は“今日”の中にある実践事例レポート212020 MAY Vol.432
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