キャリアガイダンスVol.432
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まとめ/長島佳子 撮影/竹田宗司大渡正士明治大学付属中野中学・高校 校長1929年創立。1949年に明治大学の付属校となる。普通科男子校。文武両道を目指し、全国大会常連のクラブ活動が多く、約80%が明治大学へ推薦入学するほか、国公立や私立難関大学志望者への指導も手厚い。明治大学付属中野中学・高校(東京・私立)大学付属校の強みを活かし高校での学びを検証することで真の高大連携を目指すおおど・まさし1953年生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒。外国映画などの影響で、日本にいながら海外を身近に感じられることで英語に興味をもち、英語で生計を立てることを志す。大学時代に耳鼻咽喉科でアルバイトをした経験から、子どもと触れあうことが好きになり、教員を目指すきっかけとなった。1976年、大学卒業とともに明治大学付属中野中学・高校に着任。2009年教頭就任、2013年より現職。校長に就任以来、1日も欠かさず毎朝正門に立って生徒たちを迎えている。教育の要はティーチングスタッフであり「先生たちが宝」というモットーから、先生方と共に働く姿勢を示し、校長室のドアを開放している。中高一貫校の私学の生徒は地元の友人が少なく、地域の成人式に行きづらいことから、数年前より学校に卒業生を迎えて独自の成人式を行っている。*TOEIC®LISTENING AND READING TEST 本校は明治大学の付属校として、大学の核となれる生徒の育成が期待され、多くの保護者や生徒からも同学への進学を求められています。その一方で、中学で入学した生徒たちが、6年間の学びの中で、明治大学にはない学部を志望することも少なくありません。いずれの生徒に対しても進学時の選択肢を狭めさせないために、「精一杯努力しよう」ということを、校長就任以来、一貫して発信し続けています。生徒たちは自分で限界を決めず、学校は生徒の可能性を広げるための取組を備えていくべきです。特に私学は、授業料をいただいているのですから、生徒に必要な教育はすべて学校でできるようにしなければならないと思っています。 時代の変化にともない、大学もグローバル人材の育成が当然のこととして求められています。自信をもって生徒たちを送り出すためには、「ツールとしての語学力」「多文化共生の心」「なりたい自分になるための自分探し」の3つを、高校のうちに身に付けたりできるようになっていることが必要です。そのために本校では、さまざまな取組を進めています。 高校1・2学年ではオンライン英会話を必修科目とし、3学年ではTOEICⓇTEST*、TOEFL iBTⓇテストの集中講座を行っています。また、中学3学年でニュージーランドのホームステイ研修、高校1・2学年でアメリカ研修を実施し、今年度から高校1学年の3学期の3カ月間、カナダでのターム留学を始める予定です。  多文化共生ではこれらの海外研修や留学を始めとして、留学生たちを英語で案内する「都内散策」を行っています。班ごとに自国の文化を留学生に伝えながら1日散策すると、最初は緊張していた生徒たちが、留学生たちと非常にフレンドリーになって帰ってきます。 「なりたい自分になるための自分探し」では、卒業生の人脈を活かした職業体験を行っています。また、「16歳の仕事塾」という進路セミナーを10数年前から実施しています。高校1・2学年を対象にさまざまな職業の社会人に仕事について語ってもらうセミナーです。こうしたキャリア教育によって、生徒たちが「将来やりたいことをするために、今の自分には何が必要なのか」と、進学を偏差値ではなく自分の学びたいことを軸に考えるようになっていきます。 社会人だけでなく明治大学との連携も積極的に進めており、理科の実験講座や簿記講座、模擬裁判など、大学生を招いて彼らの学部での学びを活かした講習を中学生対象に行ってもらっています。 付属高校の強みは、卒業生が大学でどんな学びをしているかを把握しやすいということです。現在実施している取組を次に向けてフィードバックするために、高校での学びが大学でどう活きているかを検証し始めています。そのためにも卒業生とのつながりを、これからも一層強化していきたいと考えています。グローバル時代にかなう多様な取組で生徒たちの可能性を広げる卒業生や大学との連携により将来につながる学びに発展できる452020 MAY Vol.432

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