キャリアガイダンスVol.432
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ねて、「ペアの相手のキャッチフレーズを考えよう」というワークをします。小論文で用いる「意見」「理由」を発散・収束によって導く経験をしてもらうことが主な目的です。 なお、新型コロナウイルス対策のため、オンラインで授業するケースが増えてきました。私もZoomを用いています。ブレイクアウトセッションでペアワークを行ったり、GoogleのJamboardで付箋を用いた発散・収束のワークを実施したりしています(左図中※1部分)。 また、課題提出や自主勉強会(輪読等)の報告もGoogle classroomやSlack、LINE等で行っています(左図中※2部分)。 今回は私の通常の授業設計と、「意見」「理由」をグループで考えるワークについて紹介しました。次回は「提案」まで含めた授業について、ブルームのタキソノミーなどを含めてご紹介しようと思います。なければならず、その定着のために繰り返しワークを実施しています。 また、私はPBLで授業を行っています。PBLとは、現実社会に存在する問題に取り組む学びのスタイルで、創始者はJ・デューイと言われています。 PBLでは仮説と検証を繰り返し、試行錯誤の過程を学びます。すなわち「問い―調査・実験・試作―とりあえずの解の発見―新たな問いの発見…」という探究のサイクルを基に、目的達成をするということです。これは「②発散・収束のワーク」にある「問い(駆動質問)の提示―発散―収束」の一連の流れと重なります。 最後に、実際の講義の例を示します。120分で行う場合、下記のように(1)問いの提示(2)発散(3)収束を繰り返す設計をすることが多いです。 例えば、初回の授業は自己紹介を兼「主張」「根拠」のワーク神﨑史彦1978年生まれ。1996年に法政大学に法学部論文特別入試で合格。在学中より塾講師を務め、卒業後は大学受験予備校などで小論文の講義を担当する一方、模擬試験の問題作成者として活動し、20冊の学習参考書を出版。現在は自らの塾を経営しながら、講演や私立学校での講師を務め、全国各地の高校教育改革ならびに高大接続事業のコンサルティングを行っている。2020年4月よりスタディサプリ講師に就任。社会人大学院生(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)。21世紀型教育機構アクレディテーションメンバー。● 学習指導例(講座初回、対象:高2:120分)「もしあなたがペアの相手にキャッチフレーズをつけるなら、どのようなものにするか」本時のねらい ①発散・収束の方法を習得する ②小論文の要素である「意見」「理由」を導く練習をする学習活動指導上の工夫・駆動質問・留意事項教材・教具アイスブレイク(15分)ペアの組成、先攻・後攻の決定個人ワーク「あなたにとっての『素敵な日曜日』を、身近なものを使って、作品として表現しよう」ペアワーク「つくった作品を基に、あなたにとっての『素敵な日曜日』をペアの相手に語ろう」ワーク①ペアの相手の特徴を探る(20分)問いの提示「面識の薄いペアの相手のキャッチフレーズをつけるためにヒアリングを行おう」発散(ペアワーク)「ペアの相手に、特徴や趣味や好きなことを聞いてみよう」※付箋1枚につき、特徴や趣味を一つ示す。収束(個人ワーク)「メモ書きの中のキーワードの中で『その言葉を聴いたらこの人だ』とわかりそうなキーワードに◯を5つつけてみよう」「その◯をつけたキーワードに順位をつけてみよう」ノート・メモ用紙※1ワーク②キャッチフレーズをつくるコツをつかむ(20分)問いの提示「キーワードを基にキャッチフレーズをつくるわけだけど、前例があるとイメージがつきやすそうだね。そのエッセンスを含めたキャッチフレーズをつくろう」発散(グループワーク)「アイドルのキャッチフレーズを見つめると、面白い傾向が見えるかも。いくつか出してみよう」※付箋1枚につき、傾向を一つ示す。収束(グループワーク)「アイドルのキャッチフレーズに潜むネーミングのポイントを抽出してみよう」「例えば『地域名』『本人が好きなもの』『数』『本人の特徴』『比喩』など、いろいろありそうだね」黄色の付箋(75mm×75mm)※1休憩(10分)ワーク③キャッチフレーズを決める【設問に対する意見を決定する】(20分)問いの提示「ネーミングのポイントを基に、ペアの相手のキャッチフレーズを考えよう」発散(個人ワーク)「思いつくキャッチフレーズを書き出してみよう」「発散のときには『これはないだろう』というものでも書き出そう」※付箋1枚につき、キャッチフレーズを一つ示す。収束(個人ワーク)「相手の特徴を最も表しているキャッチフレーズを1つ選ぼう」ピンク色の付箋(75mm×75mm)※1ワーク④キャッチフレーズを決めた理由を説明する【意見に対する理由を述べる】(20分)問いの提示「今までの過程を踏まえて、なぜ選んだキャッチフレーズが相手の特徴を示すものとして優れているのかを説明してみよう」発散(ペアワーク)「そのキャッチフレーズにはどういうネーミングのポイントがあるのか、それは相手のどういう特徴や趣味と紐づくのか、理由を示してみよう」※付箋1枚につき、理由を一つ示す。収束(個人ワーク)「今挙げた理由に優先順位をつけてみよう」水色の付箋(75mm×75mm)※1リフレクション・チェックアウト(15分)学びの共有「授業を受ける前と比べてどのように成長したか、みんなでシェアしよう」感情の共有「メンバー同士の気持ちを整えるために、授業を通しての自分の状態や気持ちを語り、みんなでシェアしよう」小論文の課題【ホームワーク】「もしあなたがペアの相手にキャッチフレーズをつけるなら、どのようなものにするか」(400字以内)※2『小論文のルールブック(KADOKAWA)』の論説※2写真提供:鹿児島純心女子高校(鹿児島・私立)472020 MAY Vol.432

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