キャリアガイダンスVol.432
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リクルートサービスを活用した実践事例【進路】 進学を目指す「Ⅰ類」、国公立・有名私大を目指す「Ⅱ類進学」、国公立・難関私大を目指す「Ⅱ類英進」の3コースがある暁高校。2019年度からは総合探究の授業もスタートした。しかし当初は、「何をすべきか困っていた」と1年の進路指導を担当する明上良治先生は言う。 「前年度、『Ⅱ類英進』3年の担任だった私は、本気で志望したい分野が定まらないためにがんばりきれず、思う結果を出せなかった生徒を指導し、1年次からの職業観育成の重要性を痛感していました。その課題感をリクルートの営業の方に相談するなかで見えてきたのが、職業観を育成し、視野を広げながら自分の進路について探究する授業。幸い、学生に業界の職業を伝えたい、と考えていた自動車業界の地元企業からも賛同いただき、〝さまざまな職業のなかから自分が興味ある職業を見つけて探究する〞1年生の探究プログラムを三者協働で開発することにしたのです」 「6月からは私が作成した『自己理解』のプリントなどを使って探究の授業を行い、9月にスタディサプリの『適性診断』、11月に自動車業界を理解する『総合探究プログラム①』を実施。その後、『適性診断』の結果を参考に自動車業界で働くさまざまな職種の先輩8人から3人を選んで講義(『総合探究プログラム②』)を受講。『自動車業界=理系のイメージでしたが、文系の人も多く、多様な仕事があることがわかりました』という声も多く、文理選択前に生徒の視野を広げられました」と明上先生。 講義受講後は、各職種の先輩から出された課題解決に取り組むため、企業が実際に現場で使っている課題解決のフレームをレクチャーしてもらい、そのプロセスに沿って考え、パワーポイントでまとめ、最後は企業の社員も招いて発表という流れだ。 「生徒たちはサプリのアンケート機能を活用して課題に必要な情報を集めるなど、苦労しながらも課題解決のフレームを埋め、最後までやり遂げました。発表事例の中には、生徒会で検討していきたいものも。自分の意見が、生徒会や学校を変えていくという経験が、仕事で世の中を変えていくという思いにつながってくれればと思います」と宮崎朱里先生。 「社会に出た時に必要になる〝考え・まとめ・表現する力〞は、鍛え方次第で大きく伸びることを実感した1年でした。2年次は与えられたテーマではなく、自ら課題解決テーマを考える探究活動と実際の進路の分野選びを結びつけるようなサイクルを作りたいです!」と明上先生。本気で志望したい分野を決めるには、1年次からの職業に結びつく体験が必要課題サプリの「適性診断」と自動車業界の職業を紐付け、進路を探究する活用 外部連携  総合探究  適職発見  分野選び【活用キーワード】創立1946年/普通科(男女)/生徒数940人(男子456人、女子484人)進路状況(2020年3月実績)大学253人、短大17人、専門学校48人、就職7人、その他21人取材・文/丸山佳子9月 1年生全員に自分を知るための 『適性診断』実施。 11月 『総合探究プログラム①』 自動車業界を理解する。12月 『総合探究プログラム②』 適性診断の結果から学問と職業の関わりを理解する。*●印は適合した分野、●印は最も適合した分野体育館には展示車が運び込まれ、車の未来の話や交通事故時のVRシミュレーター体験などに生徒たちもワクワクしながら参加した。適性診断法律・政治経済・経営・商学社会・メディア国際関係文学・人文・人間・心理外国語教育・福祉家政・生活芸術・表現スポーツ・健康教養・総合理・工営業スタッフ文系●●●●●●●●●●サービスエンジニア理系●経営・マネジメント層文系●●●●●●●●●●本部スタッフ文系●●●●●●●●●●店舗事務・フロアスタッフ文系●●●●●●●商品企画・開発理系・文系●●●●●●●●●●●●アフターサポート理系・文系●●●●●●●●●●●●販売支援・マーケティング文系●●●●●●●●●●●暁高校× 自動車業界× スタディサプリ総合探究プログラム左・1年進路指導担当明みょうじょう上良治先生(理科)右:1年進路指導担当宮崎朱あかり里先生(数学)暁高校(三重・私立)生徒の進路選択と社会を近づけるために地元企業&リクルートと探究プログラムを開発8人の職業人から3人を選んで講義を聞く。適性診断の結果を参考に、生徒が興味ある分野として選んだ学問と、8種類の職業が対応表で示され、学問と職業のつながりを考えながら選べるように工夫している。プログラム②の講義後、先輩から提示された「課題解決テーマ(車関連の課題4、学校関連の課題7)」のなかから1つ選択し、企業の課題解決フレームに従ってまとめる。● 車関連の課題(ex.「車に興味をもってもらうには」「完全自動運転になったら生活がどう変わるか」「移動しながらサービスしてくれる車の企画・開発」など)。● 学校関連の課題(ex.「クラスのチームワークを高められる陸上競技とは」「暁高校に来てもらった中学生に暁高校の魅力を感じてもらうためには」など)。● 企業の課題解決フレーム Step1 何が問題なのか考える Step2 問題を分析する Step3 具体的に目標を立てる Step4 原因を考える Step5 対策を考える 「課題解決テーマに着手する前、『現状の問題点を知りたいならスタディサプリのアンケート機能を使えます』とアナウンスしたところ、40人の生徒が手を挙げました。2年次もこのアンケート機能を活用していきたい」と明上先生。冬休み『総合探究プログラム③』「課題解決テーマ」をパワーポイントでまとめ、クラス発表。代表を選び、企業の社員も招いて最終発表(学校一斉休講で2年次に延期)3学期探究と合わせてスタディサプリを活用し、自らの分野選びも同時に進めていく。2年次学問講師の職業販売会社(ディーラー)自動車メーカー※先生・生徒の所属・学年などは取材当時のものになります592020 MAY Vol.432

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