キャリアガイダンスVol.433
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本学のルーツであり、我が国の写真教育の先駆的存在である小西寫眞専門学校は1923年に創設されました。写真はカメラなどのテクノロジーの面と表現などのアートの面を併せもち、両者の要素を取り入れた教育は、現在の工学部と芸術学部という学部構成につながっています。「工芸融合」は、ぶれることなく貫かれてきた本学のフィロソフィーなのです。事実、工学部における「写真演習」「デザイン演習」など工芸融合科目を多数用意するほか、学部をまたいだ共同研究も盛んです。 「工芸融合」とは、単に異なる学部同士の交流を目指すものではありません。「文武両道」同様、学生、教職員、一人ひく役立ち、親しまれる、いわゆるメディア芸術です。ゲームやアニメーションというと趣味や娯楽の世界と思われがちですが、社会を救う可能性のある分野だと確信しています。 今のような時期に、本学しかもルーツである写真出身の私が学長に就任したのも、何かに後押しされたのだと思うようにしています。困難な状況ではあるものの、新しい教育の可能性も見えてきました。例えばオンライン授業は、歯がゆい部分ももちろんありますが、だからこそきちんとした授業設計につながるし、録画を見返すなどして精度を高めることも可能です。教室では発言に消極的な学生が、チャットだと質問することもあるでしょう。新しいテクノロジーを通常の講義に活かすことで学習効果はもっと上がるはずです。 ある教員がこんなことを話していました。年度当初、オンラインでのガイダンス終了後、学生が退出しようとしないので、どうしたのか尋ねると、「先生は今何をしているんですか」「どんな本を読んだらいいですか」など、次々と質問があがったそう。大学は、人と人とがつながり、切磋琢磨する場です。今後、こうした関係性をどう深め、つながりを築いていくか知恵を絞っているところです。【学長プロフィール】よしの・ひろあき●1965年生まれ。東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻博士前期課程修了。80年代後半より写真専門ギャラリーにて写真展のプロデュースや作家のマネジメントを行う。2004年4月京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科専任講師。07年同准教授。09年4月東京工芸大学芸術学部写真学科准教授。11年同教授。写真学科主任、芸術学部長を経て、20年4月より現職。【大学プロフィール】1923年小西寫眞専門学校として創立。工学部工学科(機械コース、電気電子コース、情報コース、化学・材料コース、建築コース)、芸術学部(写真学科、映像学科、デザイン学科、インタラクティブメディア学科、アニメーション学科、ゲーム学科、マンガ学科)および大学院工学研究科、芸術学研究科。工学部は厚木キャンパス、昨年度より、芸術学部の就学地を中野キャンパスに一元化。テクノロジーとアートの融合。創立以来のぶれない軸が、困難な時代を生きるキーワードにとりの中で、一見対極にあるテクノロジーとアートの両者を駆使し、創造の幅を広げていくことだと考えています。 この両輪があってこそ社会の発展がある。そうした信念は、先の見通せない現代においてより求められるでしょう。例えばコロナ禍の外出自粛において、オンライン上で自分を表現し、他者と共有することで、心の安定や問題解決に向かうといった活動が盛んになりました。地球規模の困難を乗り越えるには最先端のテクノロジーの結集と同時に、人々の心をつなげるアートも必要なのです。 その点、本学の芸術学部で扱うアートは、絵画や彫刻などの伝統的な美術とは異なります。社会の中で広̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/都筑 淳東京工芸大学学長吉野弘章372020 JUL. Vol.433

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