キャリアガイダンスVol.433
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452020 JUL. Vol.433進路を見定めにくい生徒のためのキャリア理論と実践特別企画生徒: あ~。なんか。親が就職するなって。 俺が就職しちゃうと生活保護受けられ なくなるから、バイトにしとけって。先生: そうか。そう言われて、どう感じた?生徒: え~、まあ、仕方ないかなって…。先生: 少し残念な気持ちがありそうだね。生徒: まあ、やっぱりみんなと同じように就職 できないのは少し寂しいかな。先生: そうしたら、就職したときと、しなかった ときでの、経済的な状況とか、一緒に 考えてみないか?<例えば、こんなやりとりへ>ブになりがちです。まずは、「こういう生徒もいる」ということを理解し、本心ではもがいているかもしれないという立場から話を聞きましょう。さらに、個別の対応だけでなく、日常の学校教育の中で、例えばクラス全体で漢字検定に取り組むなど、集団の力を使ってさまざまにポジティブな環境を用意してあげることが大事です。やってみたら受かった、少し楽しいかも、を積み上げていく。運動面でも特別活動でも、ポジティブなベース作りが必要です。また、このような保護者は学校に不信感を抱いていることも多いので、一方通行でもいいので働きかけていく。漢字検定の合格証のコピーを保護者にも届くようにしたり、子どもの良いところを伝えたりして、「この先生はうちの子も気にかけてくれる」と思ってもらうことが大事です。生徒: うち、シングルマザーで、お母さんすご く大変そうなの。弟もいるし。これ以上 経済的に負担かけられないかなって思 って…。先生: そうなんだ。でも、どのくらいお金が必 要かとか、奨学金とか、詳しいことは 調べたのかな?生徒: まだ、あんまり詳しくは…。先生: じゃあ、先生がちょっと詳しく調べてみ るから。その間、自分では、(キャリアプ ラン作成の宿題を出す)。<例えば、こんなやりとりへ>心の低さなどが考えられます。そのため、「もっと家族で話をしてみて」としてしまうと、結局、お母さんとの関係に引きずられて、何も変わらない結果となりそうです。そこで、改めて、本人が自分で意思決定できるように、キャリアプラン作りを丁寧に一緒に進めることが大切です。 雑誌記事や映画・番組などでもいいので、保育士になった人の話を見聞きしてもらったり、シングルマザーでも自分のなりたいものになっていった先輩の話を聞かせてあげるなど、選択のプロセスに寄り添うことが大事です。また、経済的な問題もあるので、情報提供がとても重要になります。単に、こういう学校があるというのではなく、補助金制度や学費・生活支援制度の具体的な情報提供など、ソーシャルワーカー的な役割を担う必要があります。先生: 何かやってみたいこととか、興味がある こととかは?生徒: ……特に何も思い浮かばない。先生: そうか。中学時代、部活は何かしてい たの?生徒: 最初、卓球部に入ったけど、半年くら いで辞めちゃった。先生: でも、半年間は頑張ってみたんだね。 練習は大変だった?<例えば、こんなやりとりへ>何に興味を持てるかも見いだしづらく、進路選択がなかなか進まない傾向にあります。そこで、なぜ言葉にできないか理解していくためのアセスメントを、丁寧にカウンセリングやコーチング的に行うことが重要です。 これまでにどのような経験をして、それがどんな結果だったか。このような生徒の場合、うまくいかなかった経験が多く、自己効力感が低い傾向にあるでしょう。しかし、話をしながらちょっとしたことでも褒め、「それはできたんだ」と認めていくことが大事です。経験を再構築する関わりによって、「褒められた↓興味がわく」と、関心が広がるきっかけとなります。同様に、学校教育のさまざまな場面で、スモールステップ式に成功経験ができるようにしてあげることも必要になります。

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