キャリアガイダンスVol.434
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 授業の本質というのは「先生たちが何を目指して授業づくりをするか」に大きく依存すると思っています。 では授業で何を目指すのか、というと、最近は「コンテンツ(学習内容)ベースからコンピテンシー(資質・能力)ベースへ」とよく言われますが、その方向に振れ過ぎているんじゃないか、と思うんです。 批判的思考力やコミュニケーション力そ、同時に思考力などのコンピテンシーも育まれるのです。 学習内容での深まりがないなかで、批判的思考やコミュニケーションの型だけを学んでも、「実際の使いどころはわからないまま」で、自分のものになりません。21世紀型スキルを研究した白書でも、学校の教科を「問題解決」「コミュニケーション」などに改編しても、その授業だけでスキルは伸ばせないと述べられています。 それでは、どうすれば学習内容について深い学びを起こせるでしょうか。を育む、などとコンピテンシーベースに寄り過ぎて授業を設計すると、グループ活動でも生徒は「意見を批判する」「仲良く話す」といったことに気を取られ、学習内容は二の次になります。すると肝心のコンピテンシーも実は発揮されません。 なぜなら、コンピテンシーとは、何らかのテーマ、例えば教科の単元内容について、自分で考えを深めたり、新しいものを見出したりしたときに、付随して発揮されるものだからです。要は学習内容で「深い学び」があったときこ鍵となるのは「知識を深く学ぶ」ことで、学習科学の視点ではそれを「学習者が知識を創り出す」と言い表します。この感覚を理解していただくために、クリエイティビティ(創造性)には2種類のタイプがある、というお話をさせてください。 クリエイティビティとは、一般的には「世の中にまだない未知のものを創り出す力」のことです。これを大文字のCから始まるCreativityとしましょう。一方で、各教科で扱う学習内容は、世の中で体系化された既知のことで、その知識を学ぶときにクリエイティビティは必要ないように思います。しかし、学習内容は世の中にとっては既知生徒をどう捉え、何を目指すか授業の工夫の前に学びのゴールの転換を休校中のオンライン授業では、ICT経験の有無にかかわらず、生徒の反応に差が出たと言われます。授業に何を取り入れるかという「工夫」以上に、何がその違いを生むのでしょうか。益川弘如先生に学習科学の知見からお話しいただきました。授業改善取材・文/松井大助撮影/平山 諭(12~13P)コンピテンシーベースに授業が振れ過ぎていないか「知識を創り出す」というクリエイティブな授業を122020 OCT. Vol.434

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