キャリアガイダンスVol.434
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座談会に参加いただいたのは、全国の多様なタイプの高校で自らさまざまな実践に取り組んでいる、教員歴15年未満の先生方4人。なぜその実践に取り組むのか、どんなことを心掛けているか、率直に語り合っていただきました。―では、まず一人の教員として、どのような生徒を育てたいとお考えか、お聞かせください。廣瀬 生徒には、さまざまなことを自分ごととして考えられる人になってほしいですね。外野から批判だけするのではなく、自分が中に入ってみんなと一緒に悩んで解決策を探していく。これは生徒に求める前に、私自身がそうありたいと常々思っていることです。上田 私は国語担当ですが、授業ではよく生徒に「幸せでいるため、生存率を上げるため、リッチになるため」に国語力を付けようという話をします。「リッチに」は学校であまり使わない言葉ですが、社会の構成員として働いて納税者になるのに困らない力を育てることは大切です。そのために、社会とのつながりを意識して学べるような授業やキャリア教育に取り組んできました。高橋 私も、身に付けたい力は社会の状況と切り離せないと思っています。これからのSociety 5.0で、〝競争〞から、―最初に自己紹介をお願いします。伊藤 3年前、中学校教員から高校教員に転身し、教員歴は通算6年目になります。現在、工業技術系学科、普通科、国際科を設置し、進学から就職まで幅広い進路に対応している私立星翔高校に勤務しています。上田 民間企業を経て埼玉県の教員になり10年目です。最初の学校は進学校でしたが、今年度、全くタイプの異なる川越初雁高校に移り、進路指導AIも含めた〝共創〞が重要になっていくなか、授業でもそこで活きる力の育成を意識しています。こちら側でグループワークを設定するだけでなく、学習目標とともに態度目標も掲げて生徒自身が聴く(インプット)・考える・行動する(アウトプット)の3つを意識しながら学べるように工夫しています。伊藤 生徒によく言うのは、失敗できる力は大事だということです。とりあえずやってみて、できなかったらもう1回考えたらええやん、と。人は無難にいこうとしがちですが、失敗しながら前に進んでいってほしいと思っています。―今年度、コロナ禍によって学校現場は大変な状況になりました。そのなかで気づいたこと、考えたことはありますか。廣瀬 まさに伊藤先生の「失敗させる」について、それが自分たちはできていなかったと思い知らされる出来事がありました。今年度は文化祭も例年通りにはできないので、感染予防に配慮しながらどう実施するかは、教員が決めて生徒に伝えました。しかし、その内容に生徒たちは納得せず、ゼロかや総合的な探究の時間を担当しています。高橋 私は大学院を修了し、教員歴は6年目になります。上田先生とは逆パターンで、今年度、進路多様校から、進学指導特別推進校に指定されている都立新宿高校に異動してきました。廣瀬 新規採用で山形県立米沢興譲館高校に着任し、14年目です。本校には3年前に探究科ができ、私は昨年度から探究課長を務めています。〝これから〞をつくる先生たちは 何を考え、どう動いているか一人ひとりの教員意識によって、学校や学びのあり方はどう変わっていくのでしょうか。コロナ前後に関わらず校内外で精力的に活動し続ける先生方が、オンライン座談会で語った内容から探っていきます。教員意識取材・文/藤崎雅子座オンライン談会一斉休校で考えた、教員だからできることは何か? (高橋)教員個人としての思いは?202020 OCT. Vol.434

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