キャリアガイダンスVol.434
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一斉休校や夏期休暇短縮など、コロナ禍により全国の学校が年間計画の変更を余儀なくされたと思います。授業時数が不足し、カリキュラムの再編に奔走される先生方に対し、「今こそ、改めて知恵を絞る必要があります」と語る、田村知子先生にお話を伺いました。カリキュラム・マネジメントて判断し、いかに限られた時数を有効活用したカリキュラムにするかの工夫だと思います。 そうした意味で、これまでカリキュラム・マネジメントに取り組まれていたかどうかがコロナ禍で浮き彫りになったとも言えるかもしれません。 私が研修や講演を依頼される学校の方々からは、「カリキュラム・マネジメントとはそもそも何ですか?」「何から始めたらいいですか?」という質問 2020年は全国の学校が予測不能な有事に直面し、先生方は暗中模索の対応に苦慮されてきたと思います。全国一斉臨時休業によって、生徒と対面する授業、行事や部活もできなくなり、登校再開後は授業時数が足りず、夏休みを短くするなど、すべての学校が今年度のカリキュラムの再編を迫られました。登校が再開しても感染予防のためにいつもとは違う教室の風景で授業をしなければならず、大変なご苦労がをよく受けます。 そもそもカリキュラム・マネジメントとは、自校や目の前の生徒の課題をとらえ、生徒にどのような資質・能力を育成するかを、教員一人ひとりが創造的に授業やカリキュラムの開発に努め、学校のカリキュラムとして共有化・更新していく戦略的かつ課題解決的、組織的営みのことです。 カリキュラム・マネジメントに組織的に取り組み、生徒を全人的に育成していくには、中央教育審議会が論点整理でまとめた、「教科横断的な視点での組み立て」「教育課程の実施状況の評価・今も続いていると思います。 それらの対応に、「何のために?何を?どうやって?」を問われ、全教職員が共に知恵を絞る機会になったのではないでしょうか。実はそれこそがカリキュラム・マネジメントの本質なのです。 先生方にぜひご留意いただきたいのは、「学習指導要領=教科書」ではなく、「教科書を終わらせること=教育課程をやりきること」ではないということです。生徒に「どのような資質・能力を育むか」を考えることが第一で、それは平常時も有事も変わりません。有事で異なるのは、スピード感をもっ今こそ、学校は何のためにあり、どのように生徒の資質・能力を育むか全員で考えるとき有事も平常時も、学校が目指す生徒の成長は同じカリキュラム・マネジメントは組織的な学校の営みたむら・ともこ●九州大学大学院人間環境学府博士課程単位取得退学。教育学博士。中学校・高等学校教論、岐阜大学大学院准教授等を経て現職。専門は、カリキュラム・マネジメント、教員研修、学校経営。カリキュラム・マネジメントに関する著書・共著多数。大阪教育大学 大学院連合教職実践研究科田村知子教授取材・文/長島佳子撮影/平野 愛(田村知子教授)浮かび上がった教育格差 学びを進化させる「6つの視点」カリキュラム・マネジメント292020 OCT. Vol.434

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