キャリアガイダンスVol.434
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「真面目だが自己肯定感が低く積極性に欠ける」。こうした生徒課題が現場の先生たちの声から上がっていた多治見高校は、2015年度から授業改善に着手。アクティブ・ラーニング(以下AL)の実践・研究に全校で取り組んできた。しかし、ALでは一部の活発な生徒の活躍だけが目立つなど、さらなる課題が出てきた。 そこで、個々の教員が取り組むALから、授業改善も含めて学校全体で生徒課題を解決するための学校の在り方を考える学校改革へと視座を高め、昨年度からカリキュラム・マネジメントに着手している。 まず、「進取・努力・創造」という校訓とは別に、授業のなかで再現できるような具体的な教育目標の策定に向けて、全教員から教育目標案を募集し研修会を実施。さらに、保護者や地域へのアンケートからも学校に対する期待を吸い上げ、「自ら未来を切り拓き、社会に貢献できる人物の育成」という上位目標と、「一歩前に踏み出す行動力」「粘り強い探究力」「ともに高め合う協働力」という3つの教育目標を設定。それぞれについて、学習指導要領の資質・能力の3つの柱に対応させて「何ができるように育てるか」を具体的な言葉でまとめあげた。 昨年度は、クロスカリキュラム授業を実施。カリキュラム・マネジメントの教科横断的な視点を意識し、文理の科目を組み合わせることで生徒たちの得意科目が2方向になり、輝ける生徒が一つの授業のなかで増えるからだ。 「私は化学担当で、地理の児玉先生とのコラボ授業を行い、知識だけでなく考える力をつける授業を組み立てました。当初は、『入試に使えるのか』と生徒たちが考えるかもしれないと葛藤がありましたが、生徒たちからは『斬新だった』『いろんな見方がわかった』とおおむね好評でした」(杉本先生)。 「日本のエネルギーについての授業に取現場の声から生徒課題を共有化。授業改善から学校改革へと進化多治見高校(岐阜・県立)り、実施した取組によって「生徒たちが何を学んだのか/学ばなかったのか」も含みます。それを明らかにして、評価し改善するプロセスを踏んでいくのです。 生徒の学びについて、今回の学習指導要領では「教授」よりも「学習」がクローズアップされています。先生が教えることよりも、生徒が主体的に学ぶことに比重が置かれると、「教員の取組に対する評価はどうするのか」という疑問が出てきます。 一つは、生徒に尋ねればいいと思います。節目ごとに授業アンケートを取ると思いますので、先生個人が読むだけでなく、生徒の成長という視点で学校全体で共有・分析するなどです。 また、生徒にできるようになってほしいことを言語化したルーブリックで評価することもできます。例えば、先生が集まって、実際の生徒たちの姿を項目ごとに3段階くらいに分けて付箋で貼っていくと、「今この段階の生徒が多いよね」とか「上の段階にあげるためには何をすればよかったのだろう」と、議論すること自体がカリキュラムの評価となります。 また、一問一答式の「カリキュラムマネジメント・チェックリスト」(図2)を作成していますので、カリキュラム・マネジメントができているかの確認に活用していただければと思います。 目標を立てて取組を計画し、評価・改善を繰り返すと言いましたが、新たな施策をゼロから始めなければならないということでは決してありません。新たな感染拡大防止の対応など、予測不能なことは今後も起こることが十分に考えられますので、柔軟に対応する構えが必要です。普段の取組が、学校の目標につながっていて、生徒が目標通りに成長しているかを意識的に確認していくことから始めればいいのです。型にこだわらずに柔軟に生徒と共に学校文化に前列左より、吉田浩之教頭、鈴木 彰校長。後列左より、児玉奈子先生(地歴・公民)、天野智生先生(国語)、杉本真弥先生(化学)。カリキュラム・マネジメント実践中の学校事例322020 OCT. Vol.434
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