キャリアガイダンスVol.434
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り組みましたが、当初私が立てた目標は、単に地理と化学の知識を使って読み解く浅い目標でした。他の先生方の助言で、『生徒が自分の意見をもてる』本質的な問いに修正しました。以来、普段の授業でも『社会に開かれた教育』を意識するようになり、自分が学ばせてもらえたと感じます」(児玉先生) 「国語科の私は体育の先生とコラボ授業を行いました。教育目標である行動力や協働力を意識して、競技の動作をタブレットで動画撮影し、それを見ながら改善点を言語化してグループで話し合う授業です。「言語化」と「体を使うこと」、表現手段やアウトプットの違いはあっても、それに対する発問の仕方は同じなのだという、教科が違っても共通することがあると気づくことができました」(天野先生) 「コラボ授業によって、教科によって学習内容に重複があることや、育成したい資質・能力が共通していることなど、先生方にたくさんの気づきがありました。今年はさらに単元配列表を作成し、生徒自身が『この授業で何を身に付けるのか』がわかるよう見える化しています。一般受験が多い進学校ですが、ALからの取組の結果、総合型選抜など推薦で進学する生徒が増加しています」(吉田教頭) 取組を進化させるために、自己評価、他己評価のルーブリックや、生徒・保護者アンケートを取組の評価に使い、授業や学校活動の改善を図っている。 「公立高校の課題は、先生が入れ替わっていくことです。学校として現在の取組を継続し、学校文化とするために、卒業生の力を借りることも考えています。そして、若い先生のがんばりが本校の強みです。学校の中にいるだけでは成長できません。外部の研修を受けるなど、教職員には『どんどん外に出ろ』と声をかけています」(鈴木校長)。「カリキュラム・マネジメントをやっている」という自覚がなくても自然とできている学校もあります。 日々の取組の積み重ね、つまり、先生方が日頃生徒にかけている言葉の一つひとつに、「こんな学校でありたい」「こんな生徒たちを育てたい」という理念が染みこんでいる状態を〝学校文化〞と私は呼んでいます。 また、生徒もカリキュラム・マネジメントに巻き込むことも、学校文化を形成することに効果的です。休校期間中にできなかった体育祭を実施するために、生徒チームを募集して、手を挙げた生徒たちが3密を避けた体育祭の企画をした学校もあります。 休校期間にオンライン授業や動画講座が盛んになり、「学校とは何か」が問われてきました。ICTを活用した家庭学習もカリキュラムとして位置づけるべきかの議論も予想され、学修成果の概念、カリキュラム・マネジメントの概念も変わっていく可能性も孕んでいます。いずれにせよ、生徒の成長がその中心にあります。 生徒に会えない2カ月を体験し、先生方は学校の在り方と向き合い、改めてつながりの大切さに気づかれたのではないでしょうか。学校は生徒と教員、生徒同士、教員同士がつながり合い、学び合って成長していく場だと。 カリキュラム・マネジメントを手順や作業と捉えるとつまらないものになってしまいます。カリキュラム・マネジメントの基軸は多様な〝つながり〞であり、核となるのは創造性やチャレンジ、アイデアの出し合いです。自分たちの取組の結果で生徒の成長を見られることが教員の至福の喜びです。こんな知的で創造的で主体的で人間的なことを、一人ではなく教員全体で共有できたらもっと楽しくなるはずです。 「生徒のためにこれが必要だ」「生徒のことをよく見て工夫や改善をしてみた」という積み重ねを、コミュニケーションしながらみんなでやっていたら、いつの間にかカリキュラム・マネジメントができている。そういう教員としての充実感を、今一度味わっていただけたらと思います。先生たちご自身の学びも止めないことが、何より大切です。創造性とチャレンジが核楽しみを共有できる組織に実践に役立ち、図2で抜粋した「カリキュラムマネジメント・チェックリスト」の全項目が掲載されている田村先生編著の『カリキュラムマネジメント・ハンドブック』(ぎょうせい刊)教育活動を、できるようになること、学ぶこと、どのように学ぶかで整理した「『社会に開かれた教育課程』実現のためのアイテム」(上)、教育目標を策定する際に、全教員に配布したワークシート(左下)、全教科・科目の単元について、教育目標、育成する資質・能力のそれぞれ何に該当するかを記入する単元配列表。これをもとに「学びの地図」を作成予定(右下)。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.434)浮かび上がった教育格差 学びを進化させる「6つの視点」カリキュラム・マネジメント332020 OCT. Vol.434
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