キャリアガイダンスVol.434
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452020 OCT. Vol.434生徒:学校、辞めたいなって思っていて…。先生:辞めたいと思っているのか。思い切って相談に来てくれて、先生は嬉しいよ。もう少し話を聞かせてくれる? 生徒: クラスに全然馴染めないし、毎日来る意味もないかなって…。先生:そうか。なかなか仲良くなれない感じなんだ。学校もようやく再開したところだしね。生徒:思っていた高校生活となんか違うし。先生:どんな高校生活を送りたかったの?生徒:え~。別に。普通の高校生活っていうか…。先生:そうか。大事なことだから、もう少し先生と一緒に考えてみないか?先生:最近、授業中辛そうで、心配しているよ。生徒:グループワークが苦手なんです。話に入っていけない。先生:そうか。話に入っていけなくても、まずは発言をしっかり聞いてあげることも大事なんだよ(グループワークでメンバーに果たす役割、貢献とはなどを話す)。とりあえず、毎回、タイムキーパーなど、みんなのためにできることを1つだけ意識してやってみたら?生徒:できること?先生:いつもノートをちゃんととっていてすごいなって思っていたから、書記もいいかもね。あとは、誰かが発言していることに、自分もその通りだと思ったら、「私もそう思う」っていう一言だけでもいいしね。生徒:他の人は成績伸ばしているのに、自分は受験勉強が全然うまくいっていなくて。このままだと間に合わない気がする。先生:焦ってきたんだ。生徒:うん。それに、肝心なときにいつも自分は失敗するし。先生:まあ、結果を出すのは自分だから、他の人の模試の判定は意味ないよね。いつも失敗するって、例えば?(いくつか数え挙げてもらう)。ほう、でも、こんなことはうまくできていたよね。ちなみに、受験勉強、どんなふうにやってきた?生徒:毎日、範囲を決めて問題集を繰り返しやってきました。先生:着実に努力していたんだね。その努力は、全部無駄なことだったの?<例えば、こんなやりとりへ><例えば、こんなやりとりへ><例えば、こんなやりとりへ>苅間澤先生のワンポイントアドバイス豊かな共同体感覚を育みクラス運営に役立ててください『今日から始める学級担任のためのアドラー心理学』会沢信彦・岩井俊憲 編著 図書文化アドラー心理学の考え方とともに、理論がどのように学級運営や授業などに活かせるか、さまざまな先生の実践事例から理解できる。 アドラーは、劣等感が心のエネルギーだと説きました。人と比較して自分ができないとか、そんな劣等感を乗り越えていく力が、心のエネルギーになるという発想です。劣等感というと負のイメージがありますが、それをプラスのエネルギーに変える力があるのだというのがアドラーです。そのために、自分と他者との悩みを分離したり、勇気づけを行ったり。自信をなくしている生徒との関わりでは、非常に参考になる概念です。 特に、アドラー心理学は、クラス運営に役立ちます。目的論では、不適切な行動を行う生徒の段階を4つ(注意・関心を引く、権力争いをする、復讐する、無気力・無能力を誇示する)に分けており、それを知るだけでも生徒理解が深まり、安定したクラスをつくる糸口となります。また、アドラーは、共同体感覚について、周囲の人とのつながりだけではなく、地球の裏側の人ともつながっている感覚というほど壮大なスケールで説いています。それは、今まさに言われているサステナブルな社会づくりには欠かせない感覚だと言っていいでしょう。そのような共同体感覚の第一歩を、ぜひ日頃のクラス運営でも育んでいただければと思います。
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