キャリアガイダンスVol.434
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1922年、西田のぶにより、須磨裁縫女学校として創立。1999年に須磨学園高等学校に改称し男女共学化。2001年に西 和彦氏が学園長に就任。2004年に須磨学園中学校を開校し中高一貫教育を確立。授業は受験科目、教養科目、総合科目によって編成される。総合科目は、情報教育、国際教育、自己実現のためのTBM教育、リーダーシップ教育、平和教育など、独自のカリキュラムが構築されている。須磨学園高等学校・中学校(兵庫県・私立)まとめ/石井栄子 撮影/早坂卓也にし・かずひこ/1956年、神戸市生まれ。学校法人須磨学園学園長、東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻IoTメディアラボラトリーディレクター、埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授、N & Partners 代表取締役マネージングディレクター。1977年、早稲田大学理工学部在学中にアスキーを設立し、パソコン雑誌「アスキー」を創刊。79年、米マイクロソフト副社長。98年にアスキー社長を退任後、米マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員教授などを歴任。2001年に須磨学園学園長に就任。須磨学園創立者、西田のぶは祖母にあたる。 チャールズ・ダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」という言葉を遺しています。これを学校に当てはめると、残る学校は環境の変化に対応して自分を変えることができた学校と言えるでしょう。 新型コロナウイルス感染症対策のため、本校も3月に休校に踏み切りました。しかし、生徒の学びを守るために、学校は歩みを止めてはなりません。そこで、校内に「インターネット放送局」を立ち上げ、4月にはネット配信によって授業を再開。5月には分散登校を開始。6月には長引くコロナ禍への対策として、オンライン授業と登校を組み合わせたハイブリッド型の授業をスタートしました。 生徒の学びは待ったなしです。学校トップがリーダーシップを発揮して、迅速に変化に対応していく責任があるでしょう。 本校の教育方針は、自ら考え、社会の中で「なりたい自分」を実現できる力を育むこと。私たちは、進学実績を伸ばすだけでなく、生徒一人ひとりの専門性を生かし、社会に貢献できる人間に育てることが使命と考えています。 私はシステムエンジニア、経営者、大学教員などを経て、2001年45歳のときに須磨学園の学園長に就任し、大胆なカリキュラムの変革に取り組みました。その一つが、TBM(To Be Myself)教育です。TBMでは、入学時から自己実現について考え、PM(プロジェクトマネジメント)ノートで中長期目標とその達成のためにやるべきことを見える化し、TM(タイムマネジメント)ノートで「する」と決めたことをいつまでにやるかスケジュール管理をさせます。これらによって、自分自身で計画を立て、実行する力を養います。 国際理解教育では中学2・3年、高校1年で、アジア、欧米諸国を訪問し、現地生徒と交流する「世界一周」を実施します。早い段階で世界を知ることは生徒の人生の選択肢を格段に広げてくれます。情報教育も早くから力を入れ、20年前から一人一台のPC環境を実現し授業で活用してきました。 また、多くの学校では携帯電話の持込みを禁止していますが、本校は真逆の立場です。安全な環境で、携帯電話の危険性、使用上のモラルやマナーを学び、正しく使えるようになるために導入。グループウエアとして一斉連絡や語学教育等にも活用しています。 開校100周年を迎える2022年に向けて、思い切った設備投資により、生徒たちのさまざまな「やりたいこと」に応えていきたい。さらに、特異な才能をもつ生徒を伸ばす教育や、学びたいすべての人に門戸を開く、インターネットを活用した新たな学びのかたちも検討中です。 多様化する学びのニーズに応え、果敢に改革し続ける。それが、須磨学園の一丁目一番地だと考えています。新型コロナウイルス禍においても断固とした姿勢で学びを継続する独自のプログラムで生徒の可能性を広げる472020 OCT. Vol.434

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