キャリアガイダンスVol.434
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● 2020年度は、オンラインの ホームルームも活用して進路指導リクルートサービスを活用した実践事例【進路】 文武両道の中高一貫校として、部活動、進学ともに実績を伸ばしている昌平高校。2019年には国際バカロレア認定校となり、国公立大や難関私立大を目指す「特別進学コース」、部活動と大学進学を両立する「選抜進学コース」に加え、「IB(国際バカロレア)コース」も新設された。 「当校の教育方針は、〝手をかけ、鍛えて、送り出す〞。進路指導も、教員が生徒と面談を重ね、第一志望を諦めずに実現できるように丁寧なサポートを行っています。しかし、コロナ禍のなかでスタートした今年度は、進路講演会などの行事はすべて中止。先が見えない状態でした。このピンチをチャンスに変えてくれたのが、昨年度から活用を始め、手ごたえを感じた『進学事典デジタル版』です。進路学習の新たな形が見えてきたと思いますね」。進路指導部長の堀越直樹先生はそう話す。 これまで2学年の3学期にスタディサプリの「適性診断」などを活用して志望校選びを行ってきた同校では、昨年からスマートフォンで進路検索ができるデジタル版を導入した。厚くて重く、生徒への配布が大変だった紙媒体よりも扱いやすく、今後の主流になると考えたからだという。 「しかし当校では、校内でのスマホ使用は禁止です。デジタル版を導入すると、生徒は教員の目の届かない自宅で進路学習をすることになる。できるだろうかという不安もありましたが、結果は振り返りアンケートの回収率92%。これまで任意だった『適性診断』にも、取り組む生徒が増えました。生徒に任せるとやらない、は教員の思い込み。検索結果がその場で確認でき、興味が湧けば、進路学習も自主的にできる。これは大きな発見でした」と堀越先生。 この経験を活かし、コロナ禍のピンチをチャンスに変えようと、今年度2学年の進路指導を担当したのが、学年主任の小島アカネ先生だ。 「今年度は、4月から授業もホームルームもオンライン。5月半ばには生徒も教員も慣れ、スキルも向上していました。そこで、進路講演ができないなら、3学期の進路学習を前倒しにして関心を向けさせたいと考えたのです。生徒と保護者に向け、〝何のために進路学習を行うのか〞というメッセージを送り、手順を伝え、ホームルームでフォロー。『適性診断』『学校調べ』『資料請求』と、振り返りのアンケートを2週間でやるのは大変だったと思いますが、回収率は前年度を上回る94%。自宅でいつでも進路学習ができるので、深く考えた、親と考えたという生徒もいました。適性診断やアンケートの結果も、夏休み前の面談や、夏休みに行う三者面談の貴重な資料になりました」と小島先生。 今後は、デジタル版と丁寧な面談を組み合わせながら、新しい進路指導の形を模索していきたいという。コロナ禍のなかで進路行事がすべて中止に。生徒のために何ができるか課題5月から自宅で進路学習。回収率94%のデータを元に、夏から深い面談が可能に活用 キャリア教育  オンライン進路学習  適性診断  学校調べ【活用キーワード】創立1979年/普通科生徒数1900人(男子1136人、女子764人)進路状況(2020年3月実績)大学471人、短大5人、専門学校等24人、その他49人取材・文/丸山佳子これまでの「スタディサプリ 進路」のラインナップを統合した新たなデジタル教材が『スタディサプリ for SCHOOL(進学事典デジタル版)』。「教員用の管理画面で生徒の進路学習の進捗状況を確認できる点がいいですね。締め切り前に生徒に声掛けをしただけで、アンケート回収もスムーズにできました」と、堀越先生。スマートフォンやタブレットで、いつでもどこでも進路学習ができるデジタル版。◀◀適性診断結果がすぐにわかり、気になる学校を何度も調べられるのは、デジタルならでは。休校中の進路学習は、担任が管理画面を確認しながら指導。毎日実施していたオンラインホームルームで声を掛け、アドバイスを行ったという。スタディサプリ for SCHOOL(進学事典デジタル版)活用法昌平中学・高校(埼玉・私立)進路学習を、紙からデジタルへ。診断結果から生徒が自ら未来を調べる力を養いたい左・進路指導部長堀越直樹先生(社会)右・2学年主任小島アカネ先生(理科)● 2019年1月、 「進学事典デジタル版」導入「結果レポートは、生徒と担任の両方に届きます。これをもとに夏の面談を行うのは初めてのこと。デジタル版で、例年より前倒しで進路学習を行ったことが、どんな成果をもたらしてくれるか、楽しみです」と小島先生。● 2020年夏、進路学習の 個人結果レポートをもとに面談開始632020 OCT. Vol.434

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