キャリアガイダンスVol.435
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授業、探究、HR、部活動…実践事例学校のさまざまな教育課程のなかで、生徒の学びを最大化するためにリフレクションを活用している学校に取材し、そのねらいと実践、生徒の変容についてお話をお聞きしました。50分間の授業で自分は何をどう学びどう変化したか?生徒に気づかせ学びを深める写真左から、辻本義広教頭、学習推進部長の阿部 宰先生、探究科主任の池谷陽平先生。アクティブラーニング型授業の一環としての授業内でのリフレクションに加え、探究や日々の終礼でもリフレクションを実践しています。授業追手門学院中・高校 (大阪・私立)019年の新校舎への移転に伴い、教育改革を加速してきた追手門学院中・高校。生徒自身の気づきや変化を可視化し学びを深める手段として、「授業・終礼・探究」の3つのシーンでリフレクションを実践している。導入を進めてきた辻本義広教頭、学習推進部長の阿部 宰つかさ先生、探究科主任の池谷陽平先生にお話を伺った。 「かつては偏差値を上げ大学に合格させるための授業をしていた」と辻本教頭は自身を振り返る。テストや課題を与えて生徒に強制的に学ばせることに限界を感じ、教育者としてのあり方に悩み模索するなか出会ったのが、アクティブラーニング型の授業だった。感銘を受けた辻本教頭は視察や体験を繰り返し、自らの授業にも取り入れた。すると、大きな変化が見られたという。 「最初に説明をして、個人やグループでワークをして、最後はリフレクションで終わる。授業のデザインを変えてみたら、一気にクラスの雰囲気が変わったんです。なんといっても、生徒が学びに向かう姿勢が変わりました。これだ、と自分のなかで確信して授業改善を重ね、学校全体にも広げていきたいと考えました」 新校舎への移転に際し、校内では「どういう生徒を育てたいのか」「そのためにはどういう教育をするのか」という議論がなされ、ディプロマ・ポリシー(DP)とカリキュラム・ポリシー(CP)として明文化された。例えばCPはこうだ。〝「本質的な問い」に対する「内省」を通じて、また、他者に「共感」し、他者と「協働」することで、あらゆる自分に「気づき」、自らの価値観で正しく「判断」できるようになる生徒の育成〞。このDP・CPに基づき、「具体的に生徒に何を経験させたいか」を教員間で議論し、「問う」「気づく」「共感する」などの「動詞」に落とし込んだ(図1)。これにより「どう学ぶかの目標設定を、コンセンサスをもってできるようになった」と辻本教頭は振り返る。 「アクティブラーニング型授業というと対話や協働が注目されがちですが、生徒の学びが深いものになるかどうかの分岐点はリフレクションなのではないかと考えています。まずは自分自身を振2取材・文/笹原風花1950年設立/特選SS・Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅱ類表現コミュニケーションコース・Ⅱ類スポーツコース/生徒数1164人(男子604人・女子560人)学校データ新たな学び「授業改善」習得活用探究リフレクション個別型の学び協働型の学びプロジェクト型の学びスキル対話・創造力観察する傾聴する質問する表現する経験する想像する貢献する創造する対話する協働する判断・決断力解答する繋げる思い出す選択する発見する情報収集する見極める定義づける特定する実現する決断する意思決定する判断する思考力理解する解釈する読む(自分に)置き換える比較・対照する疑問に思う評価する抽象化する分析する生み出す見通す描く内省する0123コアコンピテンシー学ぶ力暗記する繰り返す記憶する問う楽しむ好奇心を持つ挑戦するこだわる興味関心を持つ探究する没頭するやりきる問う自己理解感じる開示する受け入れる向き合う自覚する承認する見直す肯定する変容する気付く思いやり感じる尊重する受け入れる共有するかかわる承認する思いやる信頼する肯定する共感する図1:「授業」で生徒に経験させたい具体的経験生徒の学びを深めるためにリフレクションを取り入れる背景・ねらい「学びに向かう力」を育むリフレクション授業、探究、HR、部活動・・・実践事例112020 DEC. Vol.435

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