探究活動のサイクル図学びのサイクル また、大学や市役所、地元の企業やNPOの協力を仰ぎ、「生徒が活動の報告や発表をする機会」を意図的に増やすことで、振り返りの頻度や質を高めることも狙っている。 活動中、生徒たちは日々の取組をICTを使ってオンライン上の「校内グループ」に記録、蓄積。そのグループには大学教授や市役所職員など外部アドバイザーも所属しており、節目のタイミングで、まずはオンラインで、生徒たちが気づいたことや疑問に思ったことを報告・質問するのだ。生徒たちは「それなりの形でアドバイザーさんに報告しなければ」と思うそうで、今までの活動の気づきや疑問を整理し、きちんと振り返る良い機会になっているという。 次いで中間発表会の準備へ。オンラインでアドバイザーからもらった助言を踏まえ、探究テーマや、活動の経緯、展望を、班のメンバーで手分けして発表資料にまとめる。この作業もまた、「何を思って探究を始め、どんなことを感じ、次はどうするか」という、自分たちの意思や気持ちを見つめ直す一つの振り返りだ。 当日の発表会には、外部アドバイザーを招き、プレゼン後に改めて指導助言を仰ぐ。また、そのアドバイザーと他の生徒が、今聴いた発表についてルーブリックを基に「課題発見力」「調査力」「話し方・態度」などを4段階で評価。ICTのアンケート機能を活用し、手持ちのスマホからコメントも添えて回答する。結果は即時集約され、教室のスクリーンに表示される仕組み。同時に、発表した生徒も自己評価を行う。そうして「自己評価」「生徒同士の相互評価」「外部アドバイザーの評価」を組み合わせて、自分たちの良かった点や改善すべき点を、独りよがりにならず多面的な視点から振り返るのだ。 以降は、その多面的な評価から学んだことも生かし、探究を進め、再び「オンラインでの報告」「成果発表会」というサイクルを繰り返す。「生徒が報告や発表をして、そこで得た助言や評価を基に、自ら課題をより明確にしたり、話し方を工夫したりすれば、探究やプレゼンの質を自分で高められます。そのスパイラルを重ねて、生徒の成長を促せればと思っているのです」(塚本先生) さらに1月には、選出された生徒が全員の前でプレゼンする1・2年生合同優秀発表会も開催。他の生徒はその発表を通して、「今年度の自分の課題や成長」から「これからの学校生活や進路実現に生かしたいこと」まで振り返り、次につなげていく。 なお、こうした探究活動を進めるにあたり、先生たちが大前提として意識していることがある。それは、「口出しせずに見守ること」だと岩谷宣行先生は言う。現3年生のこれまでの探究活動に、1年生の時から寄り添ってきた先生だ。「まずは1年生のグループ探究で、何をどう進めるかも生徒が自分で考えます。戸惑って動けずにいたら『手法は先行研究からも学べるよ』『アドバイザーさんに何を質問する?』などとつつくことはありますが、テーマ設定や活動計画は生徒に任せます。私たちが手を貸してコンテストで賞を取るような失敗を恐れず主体的に学ぶ力1年生は5~7名によるグループ探究を、2年生は個人探究を、下のようなサイクルで進める。先生は「手をかけすぎない」ことを重視。外部への報告や発表では、生徒が自ら考えたことを示し、反応をもらうことを大切にしている。探究活動の自己評価や相互評価に使うルーブリック。4段階で点数をつけるほか、シートの後半部分は「良かった点」や「改善すべき点」について自由記述する形式になっている。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 発行メディアのご紹介>> キャリアガイダンス(Vol.435)課題発見力からプレゼン力まで自分の成長と課題を振り返る活動の方針や経緯、疑問をオンライン上で報告、外部の反応をもらう探究の目的や内容、提言を論理的にまとめ対面で発表ICTを活用し記録を蓄積探究の計画・活動外部への報告・質問自己評価相互評価外部評価発表会(年2,3回)「学びに向かう力」を育むリフレクション授業、探究、HR、部活動・・・実践事例152020 DEC. Vol.435
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