写真左から、IB CASコーディネーターのニクライ ゲルゲイ先生、IBDPコーディネーターの松﨑秀彰先生、CASアドバイザーの清沢健二先生生徒の自主的な活動を7つの学びを軸に振り返り自己認識や自信を深める生徒の自主的な活動はまさに自分ごとであり、多くのことを学んでいるはず。その学びの最大化を狙った、振り返りの取組をご紹介します。課外活動茗溪学園中学校高校 (茨城・私立)城県つくば市にある茗溪学園中学校高校は、開校以来、文化祭などの行事、部活動などの課外活動、課題研究など、「生徒が自分から動かないと何も始まらない活動」に力を入れてきた。自主的な活動を通して、挑戦する意欲や自信を育もうとしてきたからだ。学校案内のパンフレットでも「自ら学び、成長していく能力」の育成を謳っている。 その教育方針は、世界各国で評価されている総合的な教育プログラム「IB(International Baccalaureate=国際バカロレア)」とも高い親和性があった。そこで同校は、IBにおける16歳〜19歳が対象の「ディプロマプログラム(DP)」の導入を図り、2016年に認定校となり、IBDPコースを開設した(現在、高校2、3学年に1クラスずつ)。 以降、同コースでは、生徒たちがさまざまな自主活動を「CAS」という課外活動と関連づけ、より意識的に行うようになった。簡潔に述べると、自主的な活動と併せて「そこで何を学んだか振り返り、学んだ証拠を蓄積し、他者に示していく」ことまで取り組むようになったのだ。 これから紹介するのはそのCASの実践となるが、IBを導入する予定はなくても、「生徒の自主的な活動からの学び」を大事にしている学校であれば、一連の取組を参考にしていただけると思われる。 CASとは、Creativity(創造性)、Activity(活動)、Service(奉仕)の頭文字を取ったもので、創作活動からスポーツや社会貢献まで、幅広い活動を指す。一般の学校でいえば、部活動やボランティアなどの課外活動、行事や生徒会などの特別活動が、CASに通じる分野と言える。 同校は、生徒がこうした活動に取り組んだとき、体験したことを本人が振り返って学ぶということを、以前から重視してきた。けれども、IB導入を図る過程で「世界標準のプログラムと比べると、今までの本校の振り返りはまだ足りていない部分があった」と、準備を進めてきた松﨑秀彰先生たちは感じたという。 「生徒が自分たちの活動を振り返るとき、これまでは帰りの会の反省会のように、悪かったところや改善点にばかり目を向けさせていなかったか、と思ったのです。IBにおける振り返りでは、生徒が自分の良かったところや、成長できたところまで、しっかりと見つめていきます」 振り返りの手法にも違いがあった。 「『活動の良かった点や悪かった点を考えてみよう』と、ざっくりと振り返るのではありません。IBには『7つの学びの成果』を始めとした指針がいくつかあり(※図1の注釈参照)、その枠組に沿って振り返ります。枠組があるので、活動を振り返ったとき、何ができて何ができていなかったか、生徒は具体的に考えられるわけです」 「7つの学びの成果」とは、CASの活動で「何ができるようになることを目指すのか」を明示したもので、その内容は右の図1のとおりだ。 「以前までの活動の振り返りは、それぞれの先生の職人芸に頼っていて、何をどう振り返るのかを言語化できていませんでした。そこが明確になったこと茨図1:生徒に示される「7つの学びの成果」1. 自分の長所と成長すべき点を認識する2. 課題に挑戦し、その過程で新しいスキルを習得している3. 自らCASを計画し開始することができる4. CAS活動を継続し、やり遂げる粘り強さを示す5. 自らのスキルを活かし、また他者と共に活動する意識を認識する6. グローバルな課題に取り組む7. 選択と行動の倫理を認識し、考察する取材・文/松井大助振り返りは「反省会」ではない学びの成果も実感してほしい背景・ねらい1979年創立/普通科/生徒数1543人(男子770人・女子773人)/「世界的日本人」の育成を掲げ、創設以来、帰国生の受け入れ、留学、国際教育を推進。学校データ※IBにはほかに「10の学習者像」「5つのATL(学習の方法)」という指針もあり、これらもCASや教科授業の振り返りに活用されている。「学びに向かう力」を育むリフレクション授業、探究、HR、部活動・・・実践事例232020 DEC. Vol.435
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