める原動力になるのが、図の中心にある思いとつながりです。「思い」=目標やビジョンがなければ、がんばれませんし、振り返るときにも何を物差しにすればいいかわかりません。また、成長している人は、成長を応援してくれる他者とつながっている傾向にあります。他者からの応援や励まし、承認が、もっとがんばろうというストレッチ力の向上や、気づき=リフレクション力の向上につながります。 良い職場には振り返りの文化がある、といわれています。それには、部下の成長を支援するリーダーの役割が欠かせません。育て上手なリーダーは、部下のリフレクション・ストレッチ・エンジョイメントを上手に支援している人です。指導者から見た場合、ストレッチとは〝期待〞とも言い換えられます。「期待しているよ」「きみならできるよ」と適切な課題(期待)を与える。課題は難しすぎても易しすぎてもいけません。がんばれば届くくらいの課題がモチベーションを高め、人を成長させます。リフレクションの支援とは、部下が気づきを得られるように「何が良かったと思う?」「こういう風に考えてみたら?」と上手にヒントを与えること。「こうしなさい」(=線路型)や「自分で考えろ」(=放牧型)ではなく、ヒントやアドバイスを与えながら考えさせる(=ガードレール型)指導によって、本人が、自分で考え、気づいたという感覚をもたせることがポイントです。 エンジョイメントの支援とは、成功の振り返りを促すこと。ただ「良かったね」ではなく、なぜ良かったか理由や要因まで考えさせることで、その人の強みを可視化し、次の成功へとつなげる。つまり、成功の再現性を高めるのです。 社会で活躍できる人材になるためには、リフレクションの力は重要な要素です。指導者としては、安心してものが言える雰囲気づくりや、チームで目指していきたい方向性(思い)を明確に示すことが求められます。これは、もちろん学校にもいえることです。生徒が自ら行動や経験を振り返り次に活かしていくこと。その力を学生時代から養うためにも、生徒自身が良いリフレクションを行える、そんな場づくりや支援が求められるのではないでしょうか。②感情(どう思ったか、どうしたいか)③評価(教訓、次にどうつなげるか)この3つが書かれているものです。多くの人は、①だけで終わっていますが、これではリフレクションにはなりません。②で、嬉しかった、悔しかったなど、自分の気持ちを客観的に振り返り、③でなぜうまくいったのか、なぜ失敗したのか、どうすれば次はうまくできるかと、教訓を引き出す。それが次の経験につながっていきます。 このように、ある経験が次の経験につながっていく、経験の連続性が成功体験へもつながり、成長を促すのです。 人は、自分はこうなりたい、こうしたい、という強い思いやビジョンがあり、それに向かって「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、多くのことを学ぶことができます。これを図に示したものが図1です。 図中の「ストレッチ」とは、目標を設定してそれに向かって〝挑戦する力〞のこと。「エンジョイメント」とは、〝やりがいを感じる力〞です。できなかったことができるようになった、以前より上手になったという喜び、上司にほめられた、顧客から感謝されたときに感じるやりがいが、次の挑戦への原動力になります。 こうして、リフレクション・ストレッチ・エンジョイメントを行き来しながら繰り返すことが、経験から学ぶ力となり、人を成長させるのです。 この3つの要素を高リフレクション(振り返る力)ストレッチ(挑戦する力)思い&つながりエンジョイメント(やりがいを感じる力)図1:経験から学ぶ力 成長を高める「リフレクション、ストレッチ、エンジョイメント」育て上手のリーダーは3つの要素の支援が上手リフレクションしやすい環境づくりが大切「学びに向かう力」を育むリフレクションReflection × 社会272020 DEC. Vol.435
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