キャリアガイダンスVol.435
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ンから始めるとよいかもしれません。 教員間で実施しやすいリフレクション・ワークの具体例をお伝えします。 一つ目は「紙皿のワーク」です。自身のコア・クオリティを知るために有効なワークです。コア・クオリティとは、コンピテンシーとは異なり、評価や数値化できない強みのことです。チームワークで、紙皿にお互いのコア・クオリティを寄せ書きのように書いて指摘し合うことで、自分で気づかなかった自分の強みに気づき、自己肯定感が高まり、心をほぐすことにつながります。 二つ目は、「イメージカードを活用したリフレクション」です。例えば「理想の教育・授業とは?」等のお題について、用意された自然物や人などの写真のカードから自分のイメージに近いカードを選び、それを基にお題について言語化していきます。なかなか言葉にしづらい潜在的な思いも、カードを介することで言葉に出しやすくなり、自身の思考や感情を言語化したり意識化したりすることに役立ちます。 三つ目は「ヒーローインタビュー」です。4〜5人のチームで聞き手役と語り手役を順番に担います。野球のヒーローインタビューと同様の形式で、それぞれの過去の成功体験を語っていきます。「讃える↓そのときの感情を聞く↓今後の抱負」の流れでインタビューし合い、成功体験からの学びを実感することで、次の行動につなげることができるようになります。チームで実施することで、自己と他者の強みを共有・認識することができます。「場づくり」ができれば、簡単に始められるリフレクション・ワークは多様にあります。教員間でリフレクションすることで、学年団や学校がチームとして成長していくことにつながっていくのではないでしょうか。かもしれませんが、感情的な部分を引き出すには全員がフラットでないと出てきません。そのためにはまずベテランが若手に対してフランクになることが必須です。リフレクションする主体がベテランで、コーチ役が若手というケースをあえてつくることも効果的です。相談役のベテランが悩んでいることを題材にすると、若手が「この先生でもこんな悩みをもっているなら、自分が悩んでも当たり前なんだな」と大きな安心材料になることもあります。 もう一つのポイントは、「やってよかった」と思えるポジティブなフィードバックです。リフレクションは図1のサイクルのように繰り返し行うことに意味がありますので、「やってよかった」と思えるものでないと、次はやりたくなくなってしまいます。 ポジティブなフィードバックといっても単に褒め合う楽しい場ということではなく、お互いに気づきや学びが得られる振り返りが理想です。自分では気づけなかった発見があると、またやってみたくなるのです。 気づきを得るには「心をほぐす」ことが非常に重要です。心がほぐれていないと振り返りで表面化されてきた自分の感情や望みといった本質を受け入れることができず、リフレクションが形骸化してしまいがちです。「心をほぐす」とは、ただオープンになるということではなく、自己肯定感をもつことです。教員の自己肯定感は、授業で生徒と向き合ったり、授業改善のために教員同士で参観し合えるかどうかなど、日常の教育活動を左右します。まずは自身の強みを自覚するリフレクショ「紙皿のワーク」の詳細について書かれた『リフレクション大全』(上左)。リフレクションの基本理論とワーク例の詳細が記された『リフレクション入門』(上右)。チームでコア・クオリティを書いてもらった紙皿は、吊していつも見えるところに飾っておくと効果的(中)。イメージカード(下)はREFLECTのホームページで購入できる。教員間のリフレクションで強い教員集団ができていく322020 DEC. Vol.435

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