キャリアガイダンスVol.435
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1941年創立。中高一貫の普通科。文武両道を掲げ、難関国立進学コース、特別進学コース、総合進学コース、スポーツ進学コースの4コースを設置。狭山ヶ丘高校・付属中学校(埼玉・私立)まとめ/長島佳子 撮影/丸山 光 本校の創立者であり先代校長であった近藤ちよ先生は、「事にあたって意義を感ぜよ」という教育目標を掲げられました。現代において感ずるべき意義について、私は「自学自習の姿勢の確立」と捉えました。学校や教員がいかにすぐれた学びを提供しても、学問の行き着くところは自ら学ぶ姿勢の確立です。そのために、生徒たちそれぞれが学びやすい場所で自由に学べる場所を充実させ、図書館、自習室、生徒ホールを夜の9時まで開室しています。 私が校長になってから、さらに生徒たちには高い目標に向かって挑戦する気概をもってほしいと願い、準教育目標として「遠くまで行こう」を掲げました。進路にあたっては、大志をもって小成に安んずることなく、「力を尽くして狭き門から入れ」と伝えています。本校の先生方は若くきわめて優秀で、授業、進路指導をはじめ、朝ゼミ、放課後ゼミ、長期休業中の講習など、コースや一人ひとりの生徒に合った学びを熱意をもって支えています。 また、本校では開校以来「内観」という心の教育を重視してきました。それを現状の生徒に合わせて発展させた教育活動が「自己観察教育」です。「黙想」「茶道」「対話」の3本柱の活動により、自分のあるべき姿を確認していきます。特に「黙想」は、いわば自分の中に自分の先生を見つける作業です。毎時間の授業の始めに3分間実施しています。各授業担当の先生から、例えば「誰かを悲しませなかったか」など自由にテーマを与えてもらい、それについて黙想をします。時には涙を流しながら黙想する生徒もおります。黙想により内省と集中力が育まれ、卒業生のなかには社会人になってからも続けていると語る人もいます。 本校は文武両道で、運動部の生徒はスポーツ推薦で進学する生徒もいますが、今はスポーツでも海外に出ることが当たり前の時代です。英語の重要性は、どんな道に進む生徒にも高まっていきますから、運動部の生徒たちに私が直接英語の指導をすることも計画しています。 英語とともに大事なのが国語、特に読書は大成するうえで最も大切だと考えています。活字の向こうには世界中の、過去と現在の無数の天才たちがいて、本を通して彼らと交わることができます。言語や韻文の美しさは音読することで感じ取ることができ、内容も定着していきますが、昨今は音読が軽視されているように感じます。本校の生徒のみならず、若い人にはもっと本と触れて、声を出して読んでもらいたいものです。 私の夢は、本校から総理大臣を出すこと。広い視野と豊かな心をもって、身近なことだけでなく国のことを考えられる人材の育成です。政治に限らず生徒たちが活躍する分野は無数に広がっています。多様なテーマに取り組み、そのなかで偉大なリーダーとして育ってほしいと願っています。おがわ・よしお/1932年生まれ。北海道学芸大学札幌分校卒業、亜細亜大学大学院法学研究科修士課程修了、早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了、同社会科学研究科博士課程満期退学。北海道と東京の公立小中学で教鞭をとり、東京の公立小学校で教頭、校長を務めた後、1992年に狭山ヶ丘高校常任理事兼英語科教諭として着任、1996年より同校校長に就任。2020年より同校理事長兼校長。『あらすじで読む日本の名著』など著書多数。日本テレビ「世界一受けたい授業」に出演するなど多方面で活躍。2010年より琦玉県私立中学高等学校協会会長。2017年瑞宝小綬章を受章。教員によるきめ細かな指導と自学自習しやすい多様な環境読書を通して天才と交わりリーダーとして育ってほしい392020 DEC. Vol.435

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