キャリアガイダンスVol.435
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り質の高い進路指導を実現しようということでスタートしました」 進路サポーターと担任、生徒の関係性はさまざまだが、コンセンサスとしてあるのが、「生徒の進路指導の主担当はあくまでも担任。進路サポーターは単独で行動・判断せず、必ず担任と連携・協力する」ということ。進路サポーターとしてのあり方や行動規範については、進路サポーター研修の場などで進路指導部主導で伝えている。 また、佐藤先生は今年度から、教員向けの進路指導通信の発行を始めた。通信の名は『羅針盤』。進路指導を指南するものとして活用してほしいという思いから、こう名づけたという。月2回ほど発行し、進路サポーター、担任の双方に向けて、進路指導に有益な情報や時期に応じたアドバイス、ノウハウなどを発信している。「この通信を通して一番伝えたいのが、生徒自身に調べさせ、自らの進路を自らで切り拓くようサポートをしてくださいということ。本校の生徒はとても素直で、教員のアドバイスをそのまま吸収しがちなんです。生徒が主体者である進路選択を、先生方はそのサポートを…という願いを込めて、今年の進路指導のテーマは〝自らの進路を自らの手で〞としました」『羅針盤』に掲載するのは、生徒に配布している「進路の手引き」の具体的な活用法から、就職なら内定先へのお礼状の書き方、進学なら大学入試改革関連の情報などまで幅広い。「進路指導をしてくださいと丸投げするのではなく、どうしたらいいかということまで道筋を示すことが大事。特に若い先生などは、高大接続改革の経緯や目的、大学入試の新しいシステムなどにあまり詳しくないケースもあるので、教員に知識をつけてもらい本校の進路指導の底上げをするという目的もある」と佐藤先生は話す。 生徒に進路サポーターがつくのは3年生になってからだが、その生徒のそれまでの変化・成長や希望進路の変遷を知るための有効なツールがある。1年次から生徒自身が書き記す「自己理解シート」(ツール1)だ。進路スケジュール、就職試験や入試に必要な書類の書き方、先輩の体験記や進路実績、ワークシートなど進路にまつわるあらゆる情報や知識が1冊にまとめられた生徒向け冊子「進路の手引き」のなかにとじられており、学期ごとに年3回記入する。 自己理解シートの表面では、大きく4つの視点で自分の状況や自分を取り巻く環境への理解を深める。1つ目は、評定平均や出席状況、部活動、取得資格、学校内外の活動など「学校生活の実績」。2つ目は、自ら進んで挨拶をしているかなどの「社会人として必要な基礎力」の自己評価。3つ目は、「保護者の意見」。「進路については生徒本人と保護者との「自己理解シート」で主体的な進路選択を促す〝自らの進路を自らの手で〞生徒が主体者である進路選択を※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 発行メディアのご紹介>> キャリアガイダンス(Vol.435)ツール1自己理解シート(2年生春季バージョン) 「自己理解シート」は基本的にはLHRの時間に記入し、長期休暇の課題として出すことも。項目は時期や学年に応じて変化をつけ、2年生の春季バージョン(裏面)では、将来の進路について考えていることを書く欄を大きく設けている。表裏412020 DEC. Vol.435

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